08/01/07 17:33:45 0
≪横並びが問題≫
本書では、興味深いエピソードが紹介されている。昨年亡くなった阿久悠さんが
「友だちのような…」という言葉を生み出してしまったのは、作詞家として失敗だったと、
ある雑誌に書いていたというのだ。それを読んだ和田さんは《阿久先生の失敗か
どうかは別にして、たしかにその一見優しげな言葉が、人と人との関係をヘンな具合に
横並びにしてしまったのかもしれません》と記す。
《“怖い人”なんかとんでもない話で、みんな“いい人”で、みんな仲良しがすばらしい!
そんな価値観をつくってしまったから、叱る、叱られるの関係もなくなった。おとなが
みんなへっぴり腰になっちゃった》
そして、横並び意識が、じつは若い人から発奮材料を奪うことにつながっているのでは-
と、和田さんは分析する。
「人間って差をつけられることで発奮し努力するんじゃないかな。卑近な例ですが、
私が芸能界に入ったころ、歌番組で先輩は3コーラス歌えた。新人は1コーラスか
1・5ですよ。いまじゃみんな平等。でもね、《差があって当たり前》という社会の方が
私は健全だと思います」
≪個性と常識≫
和田さんは、ただ叱るだけではなく、自分の心も正直に描いている。
《子どもが大好きで、子どもが欲しくて欲しくて仕方がありませんでした。それなのに、
がんで子宮を全摘しなきゃいけなくなったのは、一九八一年。いまのダンナと結婚して
わずか二カ月後のことでした》
聖路加病院の4階に入院していた和田さんは「ここから飛び降りたら死ねるかな」と
本気で思ったという。そんなこともあってか、性や子育てのありようも、叱りたくなる。
>>3以降へ続く