08/05/26 00:38:27
ゲーム会社大手カプコンの辻本春弘社長は毎日新聞のインタビューに応じ、
大ヒットゲーム「モンスターハンター」を欧米で本格展開する方針を示した。
また、「ストリートファイター」の実写映画化や「バイオハザード」のフルCGアニメ化など
映像事業にも力を入れることも明らかにした。【聞き手・河村成浩】
--PSP版の「モンスターハンター」が大ヒットした。
正直、私自身も驚いていて、「ストリートファイター」や「バイオハザード」に続く創業以来
3回目のインパクトと捕らえている。ただ、日本で200万本売れたのに、海外では
成功しているわけではない。これだけ売れたゲームならば、本質的な魅力があるわけで、
それを世界に伝え切れていない。今後はゲームメーカーと協力し、欧米での本格展開を
考えている。PSP版が海外でヒットして、人種の壁を越えて遊ぶツールになればうれしい限りだ。
--人気ゲームの誕生のきっかけは?
もともとPS2のゲームとして誕生したが、「インターネットに接続して仲間と協力しないと
倒せないモンスターがいる」というコンセプトだったので、当時のオンラインゲーム市場を考えれば
「ハードルが高すぎる」と思ったのが率直なところ。面白さがあるのも事実だから挑戦したが、
結果は出たとはいえ50万本にとどまった。PSP版は、映像に強い興味を持っていた会長
(辻本憲三氏)が「(DSよりも映像面が強化されている)PSPのタイトルを増やせ」と
号令したのがきっかけで、候補として開発チームから名前が挙がってきた。ただ、
当時は「PS2版の亜流」というのが正直なところ。
--なぜヒットしたのか。
PSP版は、インターネットに接続する据え置き型と違って、口頭で即座にコミュニケーションを
取ることができ、1人でも数十分でクリアできるなど今のライフスタイルに合ったのが大きい。
据え置き型だとインターネットになるから、キーボード(を介した間接的なコミュニケーション)になる。
この差が大きかったのだろう。
--DS版の開発は検討しないのか? 今年最新作は出さないのか。
今は考えていない。PSP版を開発したのもPS2のリソースが使えるからで、DSで作るとなれば
最初から開発しなければならない。今は(DS版の開発よりも)海外展開の方が重要だ。
最新作よりも、ゲーム大会や発売中の「2nd G」の販売促進に力を入れたい。
--「モンスターハンター3」がPS3からWii向けに“移籍”した経緯は。
開発チームから、本編の「モンスターハンター」は映像の美しさを追求するのでなく、
Wiiリモコンを使った新しい遊びを追求したいという提案があり、同時開発する余力はないから、
Wiiでの開発を決めた。他社では経営判断で(ハードの変更を)決める場合もあるというが、
経営側から押し付けても開発側の士気は上がらない。(ハードの変更も踏まえて)企画が
開発側から出てくるのが弊社の強みだ。
--今期に発売予定の「バイオハザード5」は?
4月に見たが、恐怖心、映像の質ともすさまじく、ゲームの画面を見て驚いたのは久々だった。
これだけのタイトルなので、発売時期は他社の動向を見ながら慎重に決めたい。
--残虐表現で物議をかもした「グランド・セフト・オート」(GTA)シリーズの最新作「4」も発売される。
海外で売れる作品を紹介するのが我々のスタンス。GTAシリーズはいろいろ言われるが、
それは「バイオハザード」でもあったことで、弊社はとんがってきたことに挑んできた歴史がある。
GTAシリーズは、テーマ性があって良質なコンテンツと判断しており、“鎖国”のように扱うのは
ユーザーの“遺失利益”になる。「3」は確かにいろいろあったが、結果的には扱ってよかったと
思っている。
--今後の事業展開は。
ゲームはもちろんだが、「ストリートファイター」の実写映画化やフルCGアニメ「バイオハザード」の
製作を発表した通り、今期から映像事業にも力を入れる。小説から映画が生まれて、
映画を見た人が原作小説を読むような流れは、ゲームにもあってもいい。映像とゲームの障壁は
ないと思うし、映画「バイオハザード3」の上映で、ゲーム版の売り上げも伸びたように、
ゲーム以外の挑戦も必要になる。ユーザーに喜んでもらえるような遊びの提案を続けるつもりだ。
毎日新聞
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