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この夏、都心のタヌキに注目が集まっている。
都会のタヌキを10年間、調査してきた研究家によると、23区内には約1000匹の
タヌキがいるらしい。今年6月には、天皇陛下が「皇居のタヌキ」の生態について
研究者らと共同執筆された論文も発表され、論文を基にした企画展も好評だ。(竹井陽平)
研究家はNPO「都市動物研究会」の宮本拓海さん(41)。編集者をしていた10年前、
都市に住む野生動物の取材でタヌキを目撃したのがきっかけで、生態調査を始めた。
その成果をこのほど「タヌキたちのびっくり東京生活」(技術評論社)にまとめ、出版した。
宮本さんがインターネットで目撃情報を募ったところ、出没地は23区で191地点に上った。
特にタヌキがよく目撃されるのは、豊島区目白、新宿御苑など緑の多いスポット。
井の頭線や西武池袋線では、人が近づきにくい線路脇の茂みによく姿を現すという。
天敵の野犬が少ないのも都会でタヌキが生き残る理由だ。宮本さんは現地に足を運んで
観察を続け、目撃地点のうち約100か所が「定住エリア」と結論付けた。各地点に10匹前後
生息していると推定して、23区内のタヌキは約1000匹と目星をつけている。
近年は、都心の緑が急激に減り、タヌキの数も少なくなってきた。1981年に
計約2400ヘクタールあった23区内の農用地、森林、原野は年々減少。
昨年は約半分の約1300ヘクタールに減った。再開発に次ぐ再開発のためで、
「タヌキはいまこの時も、街を追い出されようとしている」(宮本さん)。
ただ、都心のど真ん中には、とっておきの「楽園」が残されている。千代田区の皇居だ。
その広さ約115ヘクタール。東京ドームの25倍に相当する広大な敷地の周辺では、
「タヌキを見かけた」との目撃情報が以前から相次いでいた。
天皇陛下と研究者が調査したところ、タヌキがふんをする「ためふん場」が30か所もあることが
判明。論文では、これを基に皇居に生息するタヌキは最大14匹と推定している。
上野の国立科学博物館では31日まで、論文を基にした企画展「皇居のタヌキ その生態」を開催。
研究内容の説明やタヌキのはく製の展示のほか、お堀の中州に取り残された子ダヌキを救出する
様子を撮ったビデオも上映されている。
宮本さんは「タヌキは里山の象徴。タヌキが住めるような自然を都心に残していくことに
つながれば」と話した。
YOMIURI ONLINE(読売新聞) 08/08/27
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▽画像
姿を見せたタヌキの親子連れ(7月31日午後7時、文京区内の公園で)
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