08/05/25 22:31:20
<苦難2度越え、野球の夢再び 神戸コスモス・前田さん>
神戸市で17日に開幕する第16回選抜全国身体障害者野球大会に、病気や事故で野球を
できない状態を2度にわたり乗り越えた大学生、前田広太さん(22)=大阪府吹田市=が
出場する。神戸市の障害者野球チーム「神戸コスモス」の外野手中井三朗さん(29)=同=
が、左腕だけでプレーする姿をテレビで見て励まされた。2人はいま神戸コスモスのチーム
メートで、一緒に同大会12連覇を目指している。(渡辺芳枝)
前田さんは生まれつき皮膚の病気で、日光を長く浴びることを禁じられていた。物心ついた頃
から清原和博選手にあこがれ、野球中継を欠かさず見てきた。小中学校時代はグラウンドで
野球する友人がうらやましかった。
高校入学時に手術をして体調が安定。高校2年で念願の野球部に入部し、毎日誰よりも早く
グラウンドに出て練習し、正選手の座をつかんだ。進学した大阪経済法科大学でも軟式
野球部に入った。
大学2年の4月だった。奈良県での試合の帰り道、カーブで中央線を越えたトラックが、
前田さんの運転する乗用車に正面衝突。前田さんは首の骨を2本折って右半身が動かなく
なり、左足の感覚もなくなった。
リハビリで少しずつ歩けるようになった3カ月後、病院の中庭で父親とキャッチボールをした。
思い切り投げたボールは、約5メートル先でぽとりと落ちた。病室で1人で涙を流す日が続いた。
野球から離れて2年がたった昨年6月。家でテレビを見ていて、片腕で野球をする中井さんの
姿が目に飛び込んできた。同じ高校の野球部の先輩だった。高校2年時のバイク事故で右腕が
動かなくなったのに、50メートルを6秒0で走り、障害者野球の日本代表に選ばれるなど
第一線で活躍していた。「もう一度野球をしたい」。前田さんは神戸コスモスの入団テストを受け、
4月にチームの一員になった。
11日に高砂市であった「こうのとり杯争奪戦」の2回戦では、1番センター中井、2番ライト前田で
先発出場した。前田さんは今も右手首から先が動かない。気を抜くと右足から力が抜けて転びそうに
なる。それでも左腕に力を入れてバットを振り、2打数2安打の活躍でチームの勝利に貢献した。
前田さんの今の目標は「中井さんのような選手になって、昔の自分のように絶望している障害児に
希望と勇気を与えること」だ。中井さんは「前田君の身体能力は高い。互いに刺激しあって頑張ろう」
とエールを送っている。
asahi.com 2008年05月17日
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4月に入団した前田広太さん(右)と、左手でバットを持つ中井三朗さん=兵庫県高砂市高砂町
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※ご依頼いただきました。