08/04/07 01:32:06
<短歌:若者にひそかなブーム 枡野浩一さん青春小説「ショートソング」火付け /東京>
◇「寂しさ、不安を和らげる」
若者の間で今、短歌がひそかなブームになっている。大学生の青春物語に短歌を巧みに
織り交ぜた小説「ショートソング」がきっかけだ。8万部に迫るヒット作は漫画化もされ、
俳句や川柳に押され気味だった短歌の世界に新風を吹き込んだ。著者で歌人の枡野
(ますの)浩一さん(39)は「短歌が、誰もが経験するどうしようもない寂しさや不安を和らげる
ツールになれば」と話している。
替え歌が好きだったという枡野さんは、ふさぎがちだった予備校生時代に本格的に短歌を
詠むようになった。みじめな気持ちや、失敗しがちな自分を歌にすることで「憂いが輝きに
変わる」と感じたという。
これまでの代表的な作品は……
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辞書をひき バレンタインが 破廉恥の 隣にあると 気づいている日
(「57577 Go city,go city,city!」03年、角川文庫)
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四百字ぶんの桝目を うめるにも 足らぬ三百六十五日
(「ハッピーロンリーウォーリーソング」01年、角川文庫)
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97年に短歌集「てのりくじら」でデビューした。身近な言葉で日常の心の動きを鋭く切り取る
作風が、話題を集めた。今では新聞や雑誌のコラム、インターネットなどで幅広く活躍し、
短歌を詠むコツや楽しさを伝え続けている。枡野さんの活動は若い層に影響を与え、人気
歌人の加藤千恵さん(24)ら多くの人材を輩出した。
◇「淋しいのはお前だけじゃな」文庫出版
このほど、枡野さんがまだ駆け出しだったころを赤裸々につづった歌と文章が収められた
「淋(さび)しいのはお前だけじゃな」(03年、晶文社)の文庫版が、集英社文庫から発売される。
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振り向いて くれたけれども 「がんばれ」は たぶん自分に言った言葉だ(淋しいのはお前だけじゃな)
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「この本には、自分の短歌創作の原点がある。自分にもできそうだ、詠んでみようと思って
もらえたらうれしい」。枡野さんはそう話す。【田後真里】
毎日新聞 2008年4月6日 地方版
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