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リニア中央新幹線についてJR東海の松本正之社長が、南アルプスをトンネルで貫く
ルートを想定して整備費5兆1000億円を試算、全額自己負担で建設する考えを
表明したことをめぐり、これまで別のルートを想定して建設促進を進めている県や
沿線自治体に26日、戸惑いの声が広がった。
県や自治体などで構成する「リニア中央エクスプレス建設促進県協議会」が
求めているのは茅野、伊那、飯田市を通るルート。県交通政策課によると、
旧国鉄が提示した3ルートのうち「Bルート」と呼ばれ、1989年に意向をまとめて以来、
方針は変わっていない。
今年11月28日にも同協議会や県議会議員連盟、県経済団体協議会は、
国交省やJR東海に対し、Bルート採用などを盛り込んだ要望書を提出している。
表面化したJR東海の今回の構想について、同課は「正式に話を聞いていない」と当惑。
「JR東海が自己負担するといっても、全国新幹線鉄道整備法の枠の中で、国の指示を
受けながら地方が協力して進めていく話。誠に遺憾」と憤然とした様子。今後も引き続き、
Bルート採用を要請していく姿勢を強調した。
沿線の自治体も反発を強めた。諏訪広域連合は26日、正副連合長(市町村長)会で
急きょBルート推進の既定方針を確認。同連合長の山田勝文諏訪市長は
「想定ルートは単なる東海道新幹線のバイパス。大都市を結ぶだけで、地方の経済効果は
全く期待できない」と首を振る。小坂樫男伊那市長も「最短で結びたいという気持ちは
分かるが、効率優先でいいのか」と不安ものぞかせた。
また牧野光朗飯田市長は、ルートについては従来通り関係団体と同一歩調をとる姿勢に
変化はないと断った上で、「JRの具体案を見ながら、地元の悲願である早期着工と
飯田駅の設置実現のために粛々と要請活動を進めていく」と述べた。
中日新聞
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