【コラム】“成功例″ドイツ郵政民営化の破綻…東谷暁[09/02]at BIZPLUS
【コラム】“成功例″ドイツ郵政民営化の破綻…東谷暁[09/02] - 暇つぶし2ch1:依頼@サルモφ ★
08/09/03 20:24:21
 郵政民営化の成功例として語られてきたドイツポストが、子会社の銀行ポストバンクを
売却する算段をしているというので注目を集めている。買収する側として、ヨーロッパの
巨大金融機関の名前が登場しては消える。いずれにせよ売却の方針は決まったようで、
いまやどこが買うかが問題の焦点なのだ。

 民営化のさいに、いったんは分離したドイツポストを買い戻したのは、郵便局のサービスが
低下するのを避ける狙いがあった。それがまた、売却を企てているという理由はただひとつ。
ドイツポストが経営的に危機に陥っているからなのだ。日本の郵政民営化のさい、ドイツポストの
「成功」が派手に報道され、物流会社DHLを買収して傘下に収めたことが、その成功の象徴のように
語られた。

 しかし、そうした成功物語には多くの神話があり、日本での報道にもかなりのバイアスが
あったことがいまでは明らかだ。そもそも、私が2005年の郵政選挙の前に調べてみると、
営業利益の65%は郵便事業から得ており、ポストバンクなど金融が21%、DHLなどの
ロジスティクスおよび宅配便は、それぞれ7%程度にすぎなかった(『民営化という虚妄』)。
物流部門は、すでにこのときから苦戦していたのである。

 いまのドイツポストの苦境も、巨大な資金で買収した物流のDHLが足を引っぱった。
04年にはDHL米国支社が赤字に転落。去年からは米国の経済の落ち込みで回復が
ますます困難になった。こうしたなか、今年の2月には、郵政民営化の輝ける星だった
ドイツポスト前会長のツムヴィンケル氏が、巨額の脱税容疑で逮捕されるという事件が起こる。
ただでさえサービス低下に不満を持っていたドイツ国民は怒るというより呆れた。
利益至上主義のドイツポストが、馬脚をあらわした事件と指摘する人も多い。

 いまやドイツポストはポストバンクの売却益によって、経営を何とか立て直そうとしているが、
このポストバンクについても「サブプライム問題で内情は火の車」などという噂が絶えない。
日本でも全国郵便局長会が民営化の見直しを求めているが、こうしたドイツポストの惨状を
見れば、けっして覆水を盆に戻そうとする試みだとはいえないだろう。(ジャーナリスト)

引用元
URLリンク(www.business-i.jp)


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