08/08/07 17:50:48
都道府県の教育委員会に保管されている教員免許状の原簿のデータを電子情報化する作業が
この夏本格化している。来年度から始まる教員免許更新制の運営のため、データを一元管理する
必要があるからだ。対象となる免許状は推計1千万を超え、「第二の社会保険庁になるな」が
作業の合言葉になっている。
原簿には、免許番号、授与日、本籍、生年月日などが記載されている。免許更新制では55歳で
最後の講習を受ける必要があるため、文部科学省は73年以降に授与された1千万件(推計値)
を電子化の対象としている。このうち紙のままが500万件、更新制の導入が決まる以前に
電子化された分が500万件ある。
9万7千件全部が紙のままの青森県は、業者に委託し7月から入力を始めた。入力ミスがない
よう契約で業者に点検を厳しく課しており、さらに県教委も点検する。担当者は「個人情報の
漏洩(ろうえい)がないことも含めて、決めた期限までに完全品をつくる契約を履行してもらう」
という。
紙が51万件を超える愛知県は、6月から業者が約110人を動員して打ち込みを開始。同じ
原簿を2人で打ったうえで、データが合っているか突き合わせる。紙が26万5千件にのぼる
北海道の場合、業者の打ち込み・突き合わせ作業の後、道教委が別に進めている現職教員調査の
名簿と照合する。「10月いっぱい、遅くとも年内に終わらせたい」という。
電子化してデータを一元化するのは、免許状を授与した都道府県(免許授与権者)と、教員と
して採用した都道府県(管理者)が異なるケースが少なくないからだ。
たとえば、東京都内の大学で学んで免許を取得し、愛媛県で採用された場合、免許更新は勤務地
の愛媛県教委に届け出るが、原簿は授与した東京都教委にある。このほか、大卒時に中学校の
免許、その後、社会人になって大学の所在地とは別の都道府県で小学校の免許も取得した場合や、
都道府県が異なる複数の学校で勤務した場合もある。各教委は対象者がどんな免許状を持って
いるのか、一元管理システムを使って調べ、手続きを進めることになる。
社会保険庁のように原簿そのものの情報や入力の誤りで、更新の際に検索しても名寄せができ
なくなることはないのか。文科省は一定の比率でありうると想定する。
対象者から免許更新の申請を受けても、名前が誤っていたり、結婚前の旧姓のままだったりして
システム上、見あたらない場合、生年月日や授与番号などで確かめる。それでも見つからなけれ
ば、本人の経歴を手がかりに時間をかけて紙の原簿をめくっていく。担当者は「社保庁のことは
念頭にある。制度が始まってから混乱しないようにしたい」という。
◎ソース asahi.com
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