08/07/22 12:42:08
地上デジタル放送への完全移行まであと三年になり、北陸でも受信側の対応の遅れが目立ってきた。
共同アンテナを使う地区ではテレビの買い替えだけでなく付属設備の改修などが必要だが、負担が
重く、認識不足もあり、地デジへの「完全対応」が進んでいない。北陸総合通信局はケーブル
テレビへの切り替えなど、早めに手だてを講じるよう呼び掛けている。
共同アンテナは、受信環境が悪い山間部やビルの陰になる場所で、住民が組合をつくって設置する。
北陸総合通信局が把握している組合は、北陸三県で約千百六十ある。
ただ、三階建て以上のビルに設置するものは届け出の必要がない。このようなビルは、三県で
約一万二千棟に上り、同局も、改修が必要な共同アンテナがどれだけあるか、正確な数字を
つかめていないのが実情だ。
こうした事情から、住民への周知が進まず、同局には共同アンテナ地区の住民から「地デジ対応
テレビを買ったのに映らない」といった問い合わせが増えているという。
このため、同局は今夏から実態調査に乗り出し、年内にも統計をまとめる予定だ。河野隆宏情報
通信部長は「そのままでテレビを見られるかどうかを分かっていない人が多い。今年度からは
受信側への周知に力を入れる」とする。
だが、地デジ対応が進まないのは、周知不足だけでなく、費用の問題も大きい。
金沢市内の工事関係者によると、共同アンテナの改修費用の相場は、数百万円から、規模によって
は一千万円を超えるという。担当者は「見積もりを出すと、高い価格に驚く人がほとんど」と語る。
しかも、改修するだけなく、テレビを買い替えるかチューナーを付ける必要もあるため、住民には
「二重の負担」となってしまう。
共同アンテナを撤去して個人でアンテナを新設する方法もある。だが、「大雪や大雨が降ると映り
が悪くなったり、近くにビルが建つと受信できなくなることがあるのが難点」という関係者もいる。
雨や塩害でアンテナの維持管理に負担がかかることもあり、普及が進んでいないのが実情のようだ。
対応策として、有力視されているのがケーブルテレビ(CATV)への加入だ。CATV事業者は
電波を代替受信し、受信エリア外でもケーブルを通じて放送する。電波障害を解消できる上、
アンテナやチューナーを付けなくても、今あるテレビを使って視聴できる。
北陸総合通信局によると、共同アンテナ組合数は昨年一年で約百減った。その受け皿の多くが
CATVだったという。
約四十世帯が参加する金沢市内のある共同アンテナ組合では、組合負担で各家庭のCATV加入
工事を行い、組合を解散しようと話し合いを進めている。
代表者の一人は「改修工事の見積もりを見たが、とてもじゃないがやってられない。仮に改修して
も維持費の負担が大きい。CATVなら維持管理もやってくれるし、月々数千円で済む」と話す。
電波の発信側である放送局の体制整備は着々と進むが、視聴者の受信環境は残りの三年で整うのか。
完全移行の直前になって、CATVの加入やアンテナの改修工事の申し込みが殺到し、工事が追い
つかない事態も予想され、共同アンテナ組合は早急に対応を協議する必要があるとの指摘も出ている。
◎ソース 北國新聞
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