08/07/06 13:17:26
日本と欧州連合(EU)の経済統合協定(EIA)について、双方の経済人が進めていた
共同研究が事実上の物別れに終わった。4日に福田首相に出した提言書に、関税撤廃の協議を
盛り込めなかった。日本は対EU戦略の抜本的見直しを迫られそうだ。
EIAは、関税撤廃と市場間での規制や基準の統合を組み合わせた内容。
昨年から「日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブル」で共同研究し、その成果を
盛り込んだビジネス環境整備の提言書を、福田首相に渡した。
しかし、提言書では、日本側が強く望んだ関税撤廃についての言及は「関税に関しては異なる
見解を持った」との一文だけ。別にまとめたEIA関連の報告書でも、環境規制の調和や
食品安全基準の共通原則づくりでは政府間協議を求めたが、関税撤廃は議題にするとすら
書けなかった。
今回の共同研究は、経済連携協定(EPA)交渉入りに消極的な欧州側を動かす「地ならし」
が狙いだった。日本の鉱工業品の平均実効関税率はすでに2・8%まで下がっているため、
EPAの中心になる関税撤廃は、EUにとってはうまみがない。そこで、EUが重視する
規制や基準の統合を組み合わせる戦略をとったが、不発に終わった。
これで、早期の政府間交渉入りは望み薄になった。
4日夜に都内で開かれたラウンドテーブルの共同記者会見。
「課題の解決には双方の理解を深めながら時間をかけていく必要がある」。日本側共同議長の
佐々木元NEC会長はこう述べた。
日本側の関係者は「EUの態度は保護主義以外の何ものでもない」と批判する。
EU側は独、仏を中心に自動車などの関税撤廃に強硬に抵抗。昨年からの協議で「EU側の
かたくなな姿勢を崩すことができなかった」という。
ライバルの韓国はすでにEUとの政府間交渉を進めており、今夏にも妥結する見通しが
強まっている。EUは日韓が輸出で競合する自動車に10%、薄型テレビは14%の高関税を
かけており、韓国勢だけ無税になれば日本企業が劣勢に立つのは必至だ。
日・EUのEPA締結を求めている日本経団連は「世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉
(ドーハ・ラウンド)で関税が下がることを期待するしかない」(幹部)という。
だが、そのラウンドも、今月末に開く閣僚会合で新貿易自由化ルールの合意に失敗すれば、長
期凍結は避けられない状況だ。
経済産業省幹部は「ラウンドがだめになったら、EUも姿勢を変える可能性がある」と期待を
つなぐが、日本経団連の御手洗冨士夫会長は昨秋、「(韓国に遅れると)EU域内で(製品を)
作らざるを得ず、(日本国内の)雇用にも影響する」と発言。日本企業のEU進出が加速する
可能性もある。
あと5行続きます。ソースは
URLリンク(www.asahi.com)
“日本とEUの貿易関係”というグラフは
URLリンク(www2.asahi.com)
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