08/07/06 10:50:12
地球環境問題の深刻化を受け、次世代自動車の開発競争がメーカー間で激化している。
トヨタ自動車は「ハイブリッド車」で他社をリードする一方、多様な動力源の開発も加速させる。
“ハイブリッド一筋”からの脱却を目指すトヨタの取り組みを追った。
発売から11年となるトヨタの「プリウス」は、ガソリンエンジンと電気モーターを
併用するハイブリッド車の代名詞。愛知県内のディーラーは
「モデルチェンジが近いのに、今も納車まで2-3カ月待ち。こんなクルマはなかった」。
ガソリン価格が1リットル180円まで上がった今、燃費の良さと環境意識の高さを周囲に
アピールできるのが人気の理由だ。
トヨタのハイブリッド車は5月末、累計の世界販売が150万台を超えた。
2012年には世界で年間100万台の販売を計画し、20年までに全車種でハイブリッド車を展開する。
生産も日米中に加え、豪州やタイでも順次開始。プリウス以外の6車種の専用車も国内などに投入する計画だ。
さらに、家庭用電源で充電できる「プラグインハイブリッド車」を10年までに、企業向けに販売する。
電気での走行距離を延ばすとともに、高速時や長距離ではガソリンで対応できるため、
トヨタ幹部は「現時点では電気エネルギーを活用した、最も有望なアプローチ」と自信を示す。
一方、ライバル各社はハイブリッド車以外の次世代自動車を続々と発表している。
電気自動車では、三菱自動車が来年、「アイミーブ」の販売を開始する。
日産自動車も量販を目指して開発中だ。ホンダは11月、水素と酸素の反応で発電した電気で走る
燃料電池車を国内でリース販売する。
初代プリウスの開発を担当したトヨタの内山田竹志副社長は
「ハイブリッドを出した時、電気自動車をやっつけたと思った」と振り返る。
だがハイブリッド車の普及に伴い、その“生命線”ともいえるバッテリー(蓄電池)の
技術開発が進んで、価格も安定。この結果「短距離の街乗りにはむしろ(ハイブリッド車より)
電気自動車の方がいい」(内山田副社長)。トヨタも実用化に向けて開発を急ぐ方針だ。
ハイブリッドで他社を圧倒するトヨタ。だが将来、どんなクルマの時代が来るのか、誰にも読み切れない。
「本命が分からない。決めうちは怖い」(幹部)
だから「今はすべての可能性に対応している」と張富士夫会長。
電気、水素、バイオなど、あらゆる動力源の技術開発を並行して進める考えだ。
年間1兆円近い研究開発費を投入できる体力が、それを可能にしている。
例えば走行時に二酸化炭素(CO2)を全く排出しない高性能の燃料電池車を年内に国内で販売する。
ブラジルなどで主流のバイオ燃料は食料との競合を避けるため、草や木材を原料に開発を進める。
技術開発担当の瀧本正民副社長は「最後に残るのは電気、燃料電池、バイオ燃料の自動車。
どれが主流になるかは、国や地域で異なるのでは」と予測する。
ハイブリッドで培った技術を基に、次世代自動車の「主役」を探しながら、究極のエコカーづくりを目指す。
ソース
URLリンク(www.chunichi.co.jp)