08/07/04 19:12:39
国内の2大PCメーカーであるNECと富士通に、思わぬ不運が降りかかろうとしている。というのも、
両社のPCの一部製品において、8月以降の出荷が、停止を余儀なくされる事態にさらされそうだからだ。
ことの発端は、台湾に本社を持ち、中国に工場を構えるEverskillが経営不振に陥り、現在、操業停止と
なっている点にある。
Everskillは、デスクトップPC用モールド(きょう体のプラチスック)の生産を行う企業。
昨今の原材料高などが、経営を圧迫したと見られる。
このEverskillでは、NECおよび富士通向けにモールドを生産しており、今回の操業停止で、この供給が
一気にストップしてしまったのだ。
今週、NEC、富士通の幹部が相次いで中国を訪問していたのだが、訪中の目的は、実は、モールドの
調達に関する対応のためだったのだ。
関係者によると、既に金型などは工場から持ち出せない状況になっており、今後の成り行きを指を
くわえて待たざるを得ないという。
この影響は、NECや富士通以外にも、外資系PCメーカーの一部に及ぶことになる。
思わぬ形で、PC出荷が逼迫すると見込まれる。
NECがEverskillから調達していたのは、企業向けデスクトップPCの「Mate」シリーズのモールド。
また、コンシューマー向けPCである「VALUESTAR」シリーズで、ディスプレイと本体が分離した一部製品
も対象となっているという。関係者の声をまとめると、最悪の場合、2カ月間は、これら製品が出荷でき
ない状況にあるという。
ただし、コンシューマー向けの一体型PCなどについては、他社からモールドを調達しており、
こちらには影響がない。
一方、富士通はこの件について正式なコメントを発表していないが、コンシューマー向けPCなどに
影響がでるようだ。
販売店などの声をまとめると、7月分までは在庫が確保できているので夏商戦は問題なく乗り切れる
というが、8月下旬にも予定されている秋冬モデル投入時期への影響が心配されるところだ。
両社とも、解決を図るべく、モールドを調達できる企業との新たな契約に乗り出そうとしている
ようだが、金型確保の問題などもあり、現実的には、すぐに調達するのは難しそうだ。
「標準の金型を使うという手もあるが、デスクトップPCの前面デザインは、各社とも独自のものに
なっており、単純に標準的なきょう体を利用するというのは難しい」(関係者)という状況にあるからだ。
だが、供給が停止する製品が一部に限定されること、需要の中心がノートPCに移行していることから、
影響が限定的であることは不幸中の幸いだと言える。
とはいえ、オリンピック商戦後の不振から巻き返しに転じたいNEC、富士通にとって、出端をくじかれた
のは明らか。
思わぬ不運がNEC、富士通を見舞っている。
◎ソース 日経トレンディ「大河原克行のこれは“にゅーす”です。」
URLリンク(trendy.nikkeibp.co.jp)