08/06/05 12:13:02
約20万部のベストセラーとなった『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』
(講談社現代新書/高橋克徳・河合太介・永田稔・渡部幹 著)では、抑圧された
職場環境の中、次第に追い詰められていく会社員たちの姿が多数描かれている。
人員は最小限まで削減され、過重労働を余儀なくされた上、業績主義も加わったことで、
他人に関心を持てずにコミュニケーション不全が起こっている。そのため、職場全体が
常に「ギスギスした」雰囲気に覆われている企業が増えているというのだ。
すぐ近くの席の同僚にも事務報告をメールで済ますという話など、時折ジョークなどでも
よく登場する例であるが、ことはさらに深刻で、笑い話にもならないほど悪化している
ことが、本書からよくわかる。
その結果、人間関係が悪化し、組織は破綻。生産性や品質が低下する上、人間が壊れてしまう
という恐ろしい悪循環をもたらす。公務員であった筆者の知人にも、職場の人間関係に
疲れ果て、結局は自死を選ぶという悲劇的な出来事が、かつて実際に起きた。
それほどまでに、現代の職場は希望の持てない場所になっているのか--。
民間調査機関の財団法人労務行政研究所が、上場企業3819社を含む大企業4168社に対して
行った調査では(2008年1月-3月実施)、メンタルヘルス不調で1ヵ月以上休職している
社員がいる企業は、実に62.7%にのぼるという。さらには、休職が特に増えているのは
30代(51.9%)が最も多く、続いて20代(41.2%)と若い世代に顕著なことも
特筆すべき点だ。
これに対し、厚生労働省も早い時期からメンタルヘルスに着目し、職場における
健康確保対策を行ってきた。2000年には「心の健康づくり計画」を定め、(1)セルフケア、
(2)ラインによるケア、(3)事業場内の産業医などによるケア、(4)事業場外の
専門機関での相談などによるケアの、以上4つのメンタルヘルスケアを推進している。
加えて2006年には「過重労働による健康障害防止対策」のための面接指導制度を施行し、
メンタルヘルス面に特に配慮することを指針とした。
企業側も当然関心を高めているが、特に電機や情報機器、自動車関連などの大手が早くから
積極的に取り組んできた。例えば産業医を大幅増員し、数千人の管理職にメンタルヘルス
対策推進マネジャーも兼務させた富士ゼロックスの先進事例などもある。
一方、企業側に産業医を斡旋・紹介する事業者も登場し、業界トップの実績を誇る
ドクタートラストは、全国で800名以上の産業医を登録し、上場企業や外資系企業など
数多くの企業に産業医を送り込んでいる。
このように、役所・企業・医療界が一体となって取り組む職場のメンタルヘルス。
混迷する日本の産業界にとって、最大の資源である「人材」の心身の健康を守ることは、
最大の活力となるはずだ。
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