08/06/02 10:59:29
★日本の御家芸に大誤算 簡易型カーナビの猛威
「へえー、こんなコンパクトなのに、カーナビになるの? これだったら欲しいわね」。5月中旬、都内の家電
量販店に買い物に来ていた30代の夫婦は、液晶画面に地図を映している手のひら大の電子機器を見て
驚きの声を上げた。
休日のドライブや知らない土地の運転に重宝するカーナビゲーション。地図データの拡充や地上デジタル
放送の受信といったAV機能強化へと高付加価値化が進む一方で、それと逆を行く商品が、にわかに人気を
集めている。それがポータブルナビゲーション(以下、PND)だ。
◇手軽さと価格の安さ 猛烈な勢いで普及
PNDとは5型以下の液晶画面と地図データを保存する記憶媒体に、フラッシュメモリを搭載した簡易型
カーナビのこと。大きな特徴は何といっても手軽さだ。PNDは車内に据え付けるインダッシュ型カーナビに比べ
性能面では劣るが、軽くコンパクトで取り付け工事などの煩わしい作業が必要ない。使用する際はダッシュボードや
フロントガラスに吸盤で張り付けるだけでよく、取り外して持ち運ぶこともできる。
PNDが消費者を引き付けるもう一つの理由が、価格の安さ。インダッシュ型はおおむね10万~20万円台と
高額であるのに対し、PNDは5万円前後と半値以下だ。「インダッシュ型の購入層は男性が中心だが、PNDは
これまでカーナビに関心の少なかった女性や年配者がよく買っていく」(ヤマダ電機LABI品川大井町店店員)と言う。
もともと日本では三洋電機がPNDの販売に力を入れていたが、市場が本格的に立ち上がってきたのは昨年である。
カーナビの国内販売から一度は撤退したソニーやカーAV機器大手のクラリオンが市場参入してからだ。さらに、
今年に入ると松下電器産業が販売開始したほか、6月には市販のインダッシュ型ナビ最大手のパイオニアも参戦を
予定している。
日本ではまだ萌芽期のPNDだが、海外では猛烈な勢いで普及が進んでいる。欧州では2007年に1600万台超、
北米でも1000万台超(テクノ・システム・リサーチ調べ)と、市販のインダッシュ型をはるかに上回っている。本格的に
登場したのが04年ころだから、その成長スピードたるや驚異的だ。
ところが、である。その製造メーカーに目を向けると、米ガーミン、蘭トムトムといった海外勢が圧倒的な世界シェアを
誇り、日本のメーカー名はほとんど見当たらない。もう一方のインダッシュ型カーナビは日本メーカーの独壇場なのに、
PNDとなった途端に、日本企業の存在感は雲散霧消してしまうのである。
画像:市場を圧倒する簡易型カーナビ
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(>>2-5につづく)
(中島順一郎 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)
ソース:東洋経済08/05/30 | 17:30
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