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>>1の続き
■日本は学生も企業もぬるま湯?
企業側が欲しい人材について、向氏は「貪欲(どんよく)に学ぶ気持ちを持っていて、環境適応力
が高い人」と回答。自らの若いころは、いかに楽をするかを考えていたが、「それではいけないと
自戒を込めたアドバイス」(向氏)だという。また、「日本の大学を卒業して日本企業に入って
くる海外の学生たちは、みんなハングリー精神がある。日本の学生は頼りない」とこぼした。
有賀氏は「優れた学生はどんな企業に行きたいのか」と逆質問。慶應義塾大学大学院に所属し、
2007年度の天才プログラマ/スーパークリエータとして認定された斉藤匡人氏は、「自由度が高い
企業。自分の考えや意見がきちんと上の人に通る環境がいい。10年泥のように働いたら少しずつ
上にいけるよ、ではなく、今、自分を生かしてくれるところが望ましい」と自信を覗かせた。
有賀氏も、「こういうことをいえる学生は全体の1%くらいだろう。もっと増やさないといけない」
と付け加えた。
西垣氏は「英語は勉強しておきましょう。海外に出て行くにも英語は必須」と主張。しかし学生から
「英語は必須というが、日本企業にも海外との接点を作ってくれないと意味がない。企業は海外の
人を招致しているのか」と問われると、西垣氏は「私はNEC時代、自分が駄目だったら海外から
社長を連れて来い、といっていた。ちょうど(日産自動車の)ゴーンが出てきたころだった。
確かに、企業の役員会に自国の人間しかいないような状態はおかしい」と返答。一方で、「役員会は
確かに全員日本人。海外に拠点を置く合弁会社の社員には日本語を学んでもらっている。国内でも
逆に、英語を学ばせていかないといけないのだが……」(向氏)という声も上がり、田口氏は
「日本の学生はぬるま湯につかっていて頼りないという話になっていますが、実は日本の企業も
ぬるま湯ということですね」とまとめた。
「学生時代に学んでおいてほしいこと」というテーマでは、「よく調査などでは文書作成能力や
コミュニケーション能力が上位に上がるが、これはIT業界に限った話ではない。できて当たり前で、
それができていないから企業側が苛立っている証拠だ。高校までに学ぶべきことで、どちらかと
いうと日本の教育制度の問題」(有賀氏)と主張。「そういうスキルは置いておくとして、基礎は
押さえておいてほしい。なぜプログラムは動作するのかとか、なぜ通信できるのかとかが、きちんと
説明できなければ話にならない」という有賀氏に対し、田口氏は学生に「そのようなことがすべて
説明できる人は」と挙手を求めたところ、2人が手を挙げるに留まった。
学生からの質疑では、「学部卒でもどんどん採用しているが、本当はソフトウェア産業は専門職だ
と思う。その点はどう思うか」という質問に対し、「修士を経た専門家は年に1000人くらいだろう。
彼らは本当に有名な企業に行ってしまう。これだけでは人が足りない」(有賀氏)と苦笑い。
また、「本当に優秀な人は1人で何人分もの生産性を上げるのに、入社採用時はみんな一律のことが
多い」という学生の不満には、「本当に自分が売れると思う人は、そういう個々人のスキルが最大限
に生かせる企業に行くといい」(有賀氏)と断言。大きなシステムの構築などの仕事では、個々人の
突出したスキルではなく、チームワークが重要だと主張した。
(おわり)
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