【コラム】B-CASで「テレビ鎖国」する日本…外国製デジタルテレビは1台もない(池田信夫) [08/05/27]at BIZPLUS
【コラム】B-CASで「テレビ鎖国」する日本…外国製デジタルテレビは1台もない(池田信夫) [08/05/27] - 暇つぶし2ch2:きのこ記者φ ★
08/05/27 21:16:49
(続き)

■外国製デジタルテレビは1台もない
審査と言っても、経産省のやる電機製品の安全性に関する検査ではない。
B-CAS(ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ)なる民間企業が、
何の法的根拠もなく、B-CASカード1枚あたり(推定)3000円の「審査料」をとって審査を行ない、
それに合格しないとB-CASカードを取り付けることができないのだ。

B-CASは「ARIBの規格に準拠していれば認可する」というが、ARIBの規格書は
数千ページもあって、読み解くのにも苦労する。

しかもARIBの承認を得るためには、参加している放送局やメーカーを回って
全員のOKをとらなければならない。2005年、OEM用の地デジチューナーボードで
初めて認可を取ったピクセラは、この手続きに5年もかかったという。
こうした「日本的コンセンサス」を理解できない外資系メーカーはみんな途中で挫折し、
OEMに切り替えたわけだ。

おかげで、地デジのテレビを作っている海外メーカーは1社もない。
世界のテレビのトップメーカーは韓国のサムスン電子で、5位以内には他に韓国のLGと
オランダのフィリップスが入っている。
ところが昨年サムスンは日本から撤退し、日本のデジタルテレビはすべて国産だ。

■「非関税障壁」はテレビ局の自縄自縛
このように関税以外の方法で輸入を妨害し、海外メーカーを締め出す仕組みを非関税障壁と呼ぶ。
無料放送を暗号化するという世界に例のないシステム、B-CASの唯一の役割は、
今や日本市場を鎖国し、競争を制限することしかない。

1980年代、日本の電気製品が欧米市場を席捲したころ、非関税障壁は日米構造協議で
大きな問題になり、政府の認証プロセスを透明化し、情報公開することが決まった。
しかし90年代以降、日本メーカーの勢いがなくなると、米国も日米通商問題に関心を持たなくなり、
こんなあからさまな非関税障壁が放置されているのだ。

しかしアナログ停波まで、3年余り。今年3月までに売れたデジタル対応テレビは約2600万台で、
全国に1億2000万台以上あると推定されるテレビの1/4にも満たない。
デジタルテレビが売れない最大の原因は、コピーワンスなどの使いにくさのほかに、
競争がなく、価格が高いことだ。

このまま鎖国を続けていると、アナログ電波を止められなくなり、
テレビ局は自分で自分の首を絞める結果になるだろう。

(記事終)


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