08/05/27 15:38:52
◎ソース URLリンク(www.nikkeibp.co.jp)
『医療費のコスト削減策はこんなにある』
後期高齢者医療保険制度が4月から始まり、少ない年金から保険料を天引きされたお年寄りたちの
悲鳴が上がっている。
これまで健康保険組合に扶養家族として加入していた高齢者にとって、ゼロだった保険料がいきなり
月平均6000円ほどになる。将来は、厚生労働省の試算でも月平均8000円、人によっては1万円になる
だろうと言われている。
年金でぎりぎりの生活をしている高齢者にとって、この金額はあまりにも厳しいとわたしは思う。
国民の大部分もそう思っているからこそ、政府・与党に対する反発はここまで高まっているわけだ。
政府・与党は「高齢化にともなって毎年1兆円も医療費が増大するのだから、みんなで支え合わない
といけない。高齢者本人も負担しなければ制度がまわらない」と主張するが、対策は負担額を増やす
ことだけなのか。もっと別の解決法があるのではないか。
厚生労働省や政治家は、国民の負担を増やす前に、なぜ医療コストを削減する努力をしないのか。
彼らはその点について一切触れようとしない。そして、国民に対して「高齢化が進むと医療費が
増えるのが当然」だと信じ込ませようとしているのである。
■医療費が増えているのに医療サービスが低下する矛盾
本題に入る前に、後期高齢者医療保険制度にともなう負担の問題について、もう少し詳しく説明しておこう。
負担が増えるのは高齢者だけと思っている人も多いかもしれないが(それはそれでもちろん大問題
ではあるが)、一般のサラリーマンもまた、この制度で厳しい状況に置かれていることを知って
おいてほしい。
健康保険組合連合会がまとめた2008年度予算の推計によると、健保組合全体の経常赤字が6322億円と、
前年よりも3924億円も増えることが明らかになった。
その理由として、後期高齢者医療制度への支援金が1兆1256億円、前期高齢者医療制度への納付金が
1兆501億円など、老人医療への拠出金が前年度よりも22%も増加して2兆8423億円となることが挙げられている。
そのため、健康保険組合連合会の調査に回答のあった1285の健保組合のうち、141の組合が保険料を
引き上げるという。厳しい所得環境のなかで、サラリーマンの手取りがまた減るわけだ。高齢者だけ
でなく、現役世代の暮らしもさらに追い詰められることになりそうだ。
しかも、冒頭で述べたように毎年1兆円も医療費が増大するのだから、負担増はやむを得ないという
のが政府・与党の立場である。
しかし、冷静になって考えてみると、これだけ毎年医療費が増えているにもかかわらず、医療の
内容がよくなっていないのは不思議である。確かに先端医療の技術は進歩しているのかもしれないが、
ごく一般の診療を見る限り、病院はどこも大混雑。さんざん待たされたあげく、5分しか診てもらえ
ないというのが実情である。
支払いは増えているのにサービスが低下している。これはどう考えても納得できない。医療費増大の
原因は本当に高齢化だけが原因なのか。医療のコスト構造自体も、じっくりと検討すべきときに来て
いるのではないだろうか。
医療コスト削減策を何も考えずに、ただ医療費を増やすだけという方法で対処していけば、遅かれ
早かれ日本の医療制度はパンクすることは間違いない。
>>2以降に続く