08/05/05 10:31:37
4月から携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」で地上波と異なる独自番組を放送できるようになり、
日本テレビはプロ野球中継で新たな試みを始める。
ワンセグ視聴可能な携帯電話の累計出荷台数は、すでに2500万台を超した。
サービス開始から3年目に入ったワンセグだが、
ビジネスモデルの試行錯誤が続いている。(近藤晶)
「まず、ナイターを手掛かりに、トライアルではあるが、やってみたい。
法律上できるようになったので、積極的に挑んでいきたい」。
本年度を「ワンセグトライアル期間」と位置付ける日テレの久保伸太郎社長は、3月の定例会見で力を込めた。
地上デジタル放送は、一つのチャンネルの帯域が13に分割され、その一つ一つをセグメントと呼ぶ。
ワンセグは、一つのセグメントだけを使い、映像、音声、データを送信している。
ワンセグ放送が始まったのは2006年4月。
これまでは地上波と同じ番組しか放送できなかったが、
4月に改正放送法が施行され、ワンセグ独自番組の放送が解禁になった。
日テレは「ワンセグ・プレミアムナイター」と題して、4月1-3日の巨人×中日戦中継を、
ワンセグではイニングや点数、ボールカウントなどを拡大して放送。
画面が小さい携帯電話でも文字スーパーの表示を見やすく改善した。
第2弾として、今月7、8日の巨人×阪神戦中継で、ワンセグは関東ローカルのみ、CMなしの延長対応で放送する。
具体的には、地上波でCMが流れるイニングの合間に、
試合のハイライトや観客席の様子など独自の映像・音声を提供。
試合が長引いた場合、地上波の中継が終わった後も、ワンセグだけ最大午後9時54分まで中継を延長する。
独自番組は全部で10試合程度を予定している。
久保社長は会見で
「スポンサーや視聴者の反応など、検証しなければならないテーマは多い。
トライアルを慎重に見極めていかないといけない」と、今回の取り組みの意義を強調した。
だが、今のところ、日テレ以外に目立った動きは見られない。
「実際どういうニーズがあるか、確信が持てない」(島田昌幸・テレビ東京社長)、
「独立利用に向けて準備はしている」(井上弘・TBS社長)など、他局は様子見といった状況だ。
ワンセグは視聴率に算入されず、広告収入には直接、結び付かない。
民放にとっては
「非常に有望なメディアととらえているが、明確なビジネスモデルがまだ見えていない」(豊田皓・フジテレビ社長)からだ。
一方で、ワンセグが見られる携帯電話は昨年11月以降、急増。
電子情報技術産業協会によると、ワンセグ対応携帯電話の累計出荷台数は、今年2月末現在で2587万台に上る。
月間出荷台数の6割以上が対応機種となり、有力なメディアとして見過ごせなくなっている。
これまでのワンセグの広告展開は、データ放送での社名表示やクーポン配信などにとどまっていたが、
対応端末の普及拡大を受けて、民放キー局が共同で新たな広告運用の実験を行うといった動きも出てきた。
サービス開始当初は、新たな収益源として期待されたワンセグ。
独自番組を流せるようになり、新たな可能性が広がったものの、
ビジネスモデルをどう構築するかの試行錯誤はしばらく続きそうだ。
ソース:東京新聞
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