08/05/02 09:07:03
■外国人研修生制度への依存
今治市のタオル製造会社「杉野綿業」(杉野廣社長)が未払い賃金を求めていた
中国人研修生の女性ら3人について、「1人につき約100万円を払う」と約束しながら、
お金を支払わずに中国・大連の空港に置き去りにしていたことを26日から報じた。
トラブルから透けて見えるのは、人手不足や不況に悩む中小企業が、「特効薬」として
利用していた外国人研修生制度への依存を強めている実態だ。
■法定賃金下回る実態浮き彫り
「9・26~10・25 25日 7万7463円」「186×300=5万5800円」……。
これは女性らの毎月のタイムカードのコピーに書き込まれているメモだ。
昨年9月26日から10月25日の1カ月間、週6日間働いて、本給分の手取りは約7・7万円。
さらに残業は186時間にも上り、時給はわずか300円で計算してある。
また「現金5000円支給」と書き込まれているが、給料のうち、生活費として支給する金額だという。
女性の1人は「来日してから通帳や印鑑は会社に預けていた。生活費として数千円だけ手渡されていた」
と話している。
給料は法定賃金(県内は623円)を下回っており、通帳やパスポートの預かりも制度の指針で禁じられている。
しかし杉野社長は「家族同様に接してきたのに、裏切られた思いだ」と話し、
法律違反については「よく理解していなかった」と言葉を濁した。
日本一のシェアを誇っている県内のタオル生産だが、業者数や従業員数は下降線をたどり続けている。
四国タオル工業協同組合によると、93年に300以上あった業者は、昨年には半分以下の144に。
従業員の数も半減して約2900人、それも高齢化が進んでいる。
00年からは輸入量が国内生産量を上回り、現在は4倍になっている。
シビアな現状に、タオル会社の研修生の受け入れは増えている。
県中小企業団体中央会によると、県内では少なくとも15社が105人を受け入れている。
タオルにプリントをする捺染(なっせん)業者なども含めれば、実数はさらに上回る。
「内職という形で違法に安い賃金で働かせている業者も多い」との指摘もあり、
人件費カットに一役買っている実態がある。
一方、タオル会社の経営者らの「研修生も残業を進んでやりたがる」という主張は一部事実だ。
多くは「3年間で300万円を貯める」など「出稼ぎ」としての目標をもって来日しており、
違法な残業も納得済みのことも。関係者は「残業がないと給料が減る。それが失そうにつながることもある」と話す。
しかし杉野綿業のケースでは、女性の1人は渡航のために約100万円を中国側の送り出し機関に支払っており、
親族の家の権利書を担保として預けさせられていた。
「途中で帰国したら借金だけ残る」というプレッシャーを負いながらの生活では、会社側に自由に物を言えないことも
考えられる。
杉野社長に代わって訪中していた関係者は29日、青島のホテルで女性3人と面会。
1人につき約束していた99万円を手渡した。しかし業界をよく知る関係者は
「不況業種であるタオル製造や縫製では、多くの企業が残業代を時給300円ほどにしている。
今回はたまたま表ざたになっただけ」と話している。
ソース
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