08/05/02 00:40:51
>>1の続き
農地解放の負の側面
背景にあるのは、農家の意識の問題だ。
第二次世界大戦後、GHQ(連合軍総司令部)が「農地解放」を行ったことで、
小作人は農地を取り戻すことができた。
借りているにすぎなかったものが自分のものになったことで「農地は守るべきもの」という意識が強くなってしまった。
実際、代々引き継いできた農地を手放すことに対する抵抗感もあるし、
近年ではバブルによる地価高騰を経験したため
「どうせ手放すならもっと値段営業施設などに転用され、
莫大な補償金を得られるかもしれない」
という投機的な期待も入り混じっている。
しかし、集約化を阻む最大の要因は別にある。
「農業が儲からない」ことだ。
事業として成り立ちにくいから他人の分まで積極的に引き受けようとしない。
コメとその他の作物を比べると分かりやすい。
コメだけは唯一自給率が100%を超えている。
ただでさえ少ない農地がなぜ米に偏り、なぜ他の作物を作りたがらないのか。
理由は単純だ。
「コメは農家の手取り金額がダントツに大きいから」である。
1995年に食糧管理法が廃止されるまで、コメは国際価格の数倍という高い価格で政府が買取をしていた。
現在は市場価格へ移行したことで米価は下落したものの、それでも60kgあたり約1万1000円で取引される。
一方、小麦は60kgあたりの価格は約2200円である。
さらにそこから流通コストを引けば手元には1100円しか残らない。
つまり小麦の収入は米の1/10しかないということである。
種子や肥料、農薬など資材費すら賄えない。
交付金を貰うことでようやく多少の黒字が出る状態だ。
これでは誰も小麦を作りたがらないのは当然だろう。
2020年には農家が4分の1に
ただ、コメも安泰ではない。
過剰作付面積は年々増える一方で、2007年には31万haにも達した。
過剰作付が米価をさらに引き下げるという負の循環が広がっている。
農産物の自由化など、農家はこれまでも国策に乗って裏切られるという痛い経験を繰り返してきた。
政府に対する不信感は根強い。
何も対策が打てずに行けば、2020年頃の農業戸数は現在の4分の1である70万戸以下まで減少すると予測される。
農地は細切れになったまま、大半が雑草の生い茂る「耕作放棄地」になってしまうだろう。
「食料ビッグバン」と呼ぶべき抜本的な改革に取り組まない限り、
日本の農業は崩壊することは避けられない。