08/04/30 07:45:51
「恥ずかしながら、これが私の全財産でして」
4月15日夜、東京・飯田橋近くのNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」。男性(39)は
財布の中身を見せて、うなだれた。
財布には小銭ばかりで100円ほど。前日に古本屋で本を売った400円の残りだ。飯田橋までの
電車賃もぎりぎりだった。
都内の電気工事会社の下請けで働くこの男性は、生活困窮者を支援する「もやい」に助けを
求めていた。
「いつお金が入りますか」
「4月18日です」
「いくらぐらい?」
「たぶん、3万~4万円」
「その額でいつまで」
「次の給料日は5月20日」
「それじゃあ、苦しいですねえ。どうしますか」
「18日までしのげれば、アルバイトでなんとか……」
1万円を工面してもらい、米5キロと缶詰5個をもらってしのぐことになった。両親は年金暮らしで
頼れない。
「本当にお恥ずかしい。仕事を探しながら働く繰り返しで、失業保険も貯金もないものですから
……」。何度も頭を下げてはお礼を言った。
男性は99年、都内の私立大学を卒業した。浪人と留年を重ね、このとき30歳。就職氷河期
まっただ中だった。
派遣労働者として働きながら、就職活動を続けたが決まらない。派遣会社10社以上に登録し、
契約が切れると清掃業務や建設作業などで食いつないだ。たまに採用されても契約社員扱い。
細切れ雇用の全部は本人も思い出せない。
そのうち面接で「どうして職をそんなに転々としているのか」と聞かれるようになった。
これまで60社以上の面接を受けたが、正社員への壁は高くなるばかりだ。
いまは工事で余った廃材の片づけなどをする仕事。正社員を希望したが、半年間の契約社員。
日給1万円、翌月払いだ。3月下旬に入社し、3月は5日間働いた。
ところが、4月18日の給料日、3月分の給与明細を見てがくぜんとした。手取りはたったの
2万1814円。健康保険料9456円、厚生年金保険料1万7995円、雇用保険料735円が天引きされていた。
これでは家賃3万200円にも足りない。日雇い派遣大手のフルキャストを通じ、夜も仕事を始めた。
>>2に続く
▽News Source asahi.com 2008年04月30日02時58分
URLリンク(www.asahi.com)
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生活費にも困り、「もやい」に相談に来た男性(右)。農家から寄付された米を受け取った
=東京都新宿区、上田幸一撮影