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社会保険庁が、政府管掌の健康保険の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、
本来は労災認定(労災保険)の対象であるケースが06年度で5万件以上もあることが分かった。
これらの中には、事業主が意図的にその事実を隠ぺいする「労災隠し」が多数含まれていると
みられ、厚生労働省が本格的な対策に乗り出す。今後、社会保険庁のデータなどを基に、
労災請求に関し事業主の圧力がなかったかなどを調べ、悪質な事案には積極的に刑事処分の
適用を検討する。
労災隠しは、事業主が無災害記録の更新や事業受注の継続などを図るため、事故を隠す
などして行われるとされる。健保は、労災の治療に適用できない規則だが、発覚をおそれて
使われる。こうした労災隠しについて、労働基準監督署は悪質なケースを労働安全衛生法違反
で送検。その件数は90年に31件だったのが、06年は138件にまで増えている。
一方で、健保の申請を受ける側の社会保険庁は膨大なレセプトの中から、健保の対象とは
ならない労災や交通事故などを探すが、こうした調査の結果、労災だったとされた請求は
06年度で5万471件(15億4000万円分)にも上っていた。本来仕事中であるはずの平日に外傷を
負ったケースなどに注目し、探し出した。
厚労省が今回打ち出した対策では、全国の労働局が当地の社会保険事務局に、災害が
発生した理由や場所などが記載された情報の提供を受ける。これを基に、被災者に対して、
労災請求をしなかった理由や災害発生状況なども尋ねる。その上で、事業主が請求を抑止
していることが疑われたり、重大、悪質な法律違反、虚偽報告がされている場合は、
事業主に適切な指導、監督を実施。労災隠しが確認されれば、刑事処分も含め厳正に
対処するとしている。
また厚労省は、最近、製造業などで偽装請負が横行し、事業主責任のあいまいさなどから
労災隠しにつながるおそれがあるとも指摘。東京、大阪、福岡などの労働局が、労使の
代表者で構成する「労災報告の適正化に関する地方懇談会」を開催し、労災隠し対策での要望や
提案についてとりまとめる。【大島秀利】
▽News Source 毎日jp 毎日新聞 2008年4月16日2時30分
URLリンク(mainichi.jp)
▽厚生労働省
URLリンク(www.mhlw.go.jp)
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