08/04/11 11:37:00
目標達成の影で、業界全体が販売を自粛してきたプリペイド携帯電話を無料で配布する、なり振り
構わぬ営業姿勢や、電池パック破裂の危険を知りながら回収発表まで半年も費やすまずい対応が、
期末になって表面化したためだ。監督する立場の総務省も「シェア低下という副作用に苦しみながらも、
悪癖の販売奨励金削減に取り組むNTTドコモなどと対照的。KDDIの体質に問題がないか
注視していきたい」(中堅幹部)と厳しい視線を向けている。
電気通信事業者協会(TCA)の集計によると、今年3月末の携帯電話契約数は1億272万4500件
(前年同月比6.2%増)。事業者別の内訳をみると、新規契約から解約を引いた純増数で、
ソフトバンクが267万6500件と首位に立ち、3月末の累積契約数を1858万6200件に増やした。
市場シェアは1年前の16.44%から18.09%に伸びている。
次いで、純増数2位が、auとツーカーの合計で215万800件を伸ばしたKDDIだ。3月末の累積契約数は、
auが3010万5100件、ツーカーが23万4100件で、市場シェアはauが1.06ポイント増の29.30%、ツーカーが
0.68ポイント減の0.22%となっている。
第3位は、NTTドコモだ。純増数は76万6600件で、累積契約数ではダントツの5338万7700件を
確保したものの、市場シェアは2.47ポイント低下して51.97%にとどまった。新聞の中には、PHSの
契約数を加えた市場シェアで、「NTTドコモが(1年前に比べて2.5%少ない)49.7%と初めて5割を
割った」と報じたところもあった。
このほか、昨年サービスを開始したイー・モバイルが41万1500件の契約を獲得し0.4%のシェアを得た。
PHSのウィルコムは純増数1万8400件の461万5300件となっている。
こうした中で、数字の上では、純増数第2位とまずまずの成績をあげ、数年越しの経営目標だった累積
契約数3000万件を達成しながら、関係者の間でひんしゅくを買っているうえ、自らもその成果の宣伝の
自粛を余儀なくされているのが、auだ。
この問題では、昨年12月から目立ち始めた同社のプリペイド携帯電話の販売急増を、総務省が早くから
問題視していた。かねてKDDIでは、ツーカーの顧客のauへの移管を進めているが、昨年度の当初
8ヵ月間をみると、auのプリペイド携帯電話の純増数は平均で1万2838件と、ツーカーの純減数
(同2万4825件)の半分強の水準にとどまっていた。ところが、昨年12月に2万3600件と急増し、総務省は
「契約を水増しするような行為だ」(前述の中堅幹部)と警鐘を鳴らし始めた。
それにもかかわらず、こうした傾向は一向に是正されなかった。今年に入ってからも、1月4万1800件、
2月8万2100件、3月2万1500件と非常に高い水準で推移したのだ。この4ヵ月のauの平均は4万2500件の
純増と、ツーカーの平均純減数(1万3525件)の約3倍に膨らみ、同省が再三「犯罪の温床となりやすいため、
自粛を求めてきたプリペイド携帯電話の販売が、なぜ、急増するのか」と不快感を示していた。
ちなみに、こうした異常値発生の主因として、早くから一部で報じられていたのが「無料配布」(2月27日付け
産経新聞)と呼ばれる商法だ。「500円分の通話ができるプリペイドカード付き携帯電話を端末代金も
設定手数料(税込み4200円)も無料とする販売方法を導入。約1万5000人の社員全員が、知人や親戚に
斡旋する通知を受けた」(同)という。
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