08/04/08 15:31:40
[1/2]
去る3月14日、中国チベット自治区の首都ラサで大規模暴動が起きた。中国政府は
北京オリンピックを間近に控え、鎮圧、沈静化に躍起である。外国メディアの取材を
シャット・アウトしていたため、実態はよく見えない。
中国人民解放軍が最初にラサに進駐してチベットを併合したのは1950年、半世紀が過ぎた。
その間、戒厳令が発令された大規模な暴動としてはダライ・ラマを追放した1959年3月と
1989年3月であった。どういうわけか今回も3月、これまでのチベット人の犠牲者は100万人を
超えると言われている。1989年の動乱の映像がYouTubeで放映されているが、その弾圧の
過酷さがよく見て取れる。今回も似たようなものと容易に想像できる。
中国はなにゆえそのように強硬手段でチベットを統治しようとするのか。それは、チベットに
眠っている豊富な地下資源である。その眠りを覚ます役割が、2006年7月に開通した青蔵鉄道
である。青海-ラサ間1145キロメートル、約3200億円かけて建設された鉄道は採掘された
資源の輸送手段になるわけだ。
国あるいは地域を実効支配する常套手段が鉄道建設である。自国民を大挙して送り込み、資源を
収奪する方法は、かつて、日本も満州で行った。国策として南満州鉄道を建設し、100万人
移民政策を推進、鞍山の鉄鉱石、撫順の石炭その他有用資源を確保した。青蔵鉄道も全く同じ
手法である。この方法を中国は今、チベットだけでなくアフリカのコンゴ民主共和国でも実行
している。
チベット自治区とその周辺のチベット族居住地域の地下資源は、資源飢餓国中国としては絶対に
開発したいところである。青蔵鉄道建設に先立ち、その沿線地域において政府地質調査団が
広範囲にわたり探鉱した結果、銅、鉛、亜鉛、鉄鉱石の鉱床が発見された。これら資源の価値は
1250億ドルと評価されている(Interfax-China)。銅が2000万トン、鉛・亜鉛が1000万トン
で、1カ所の銅鉱床で確認された埋蔵鉱量789万トンは、中国全土で2番目の規模である。
これら調査結果を2007年1月25日、新華社通信が公表した。多くのチベット人にとっては、
それまで青蔵鉄道建設が資源収奪を目的とするものだと疑念を抱いていたが、そのことが確認
されたというわけである。チベット高原における中国の行為は、インフォームドコンセントも
なく、チベット人には何らの自由も優先権もなく、中国の資源収奪は占領されたチベットにおける、
“白昼堂々の盗み”とまで表現するチベット人もいる。鉄道に反対してきたのは、資源収奪も
さることながら、漢民族がどんどん増えることによってチベット人が駆逐されることを恐れていた
からである。
ちなみに、2007年ラサの人口35万人のうち漢民族が既に20万に達している。
続きます。ソースは
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)