08/04/06 22:48:38
■罵声、報復人事…企業社会で煙たがられ
「男で育休を取るつもりか。前例はないだろう? まあ無理だな」。
兵庫県の元運輸会社社員の男性(38)は03年末、上司の人事課長に育児休業を願い出たが、
却下された。当時長女は1歳。妻(37)は病気で、選択肢は限られていた。
会社の従業員は約500人で、創業は大正。女性でも育休を取りにくく、古い会社だと思っていた。
そんな風土に風穴を開けたい、という思惑もあった。
3カ月後、この課長から突然、人事異動を告げられた。
異動先は会社が事業の委託を受けている接客関係の職場。勤務時間が不規則で、「明らかに報復人事だった」。
自分を買ってくれていた幹部が交代したことも響いた。
「あいつはうるさいやつだ」との評価になっていたことは気付いていた。
新しい職場は早朝出勤も多く、子どもを市内の実家に預けてしのぐ日々が続いた。
だんだんと追い詰められる日常に憤りが募り、「働き方を変えるしかない」と決意した。
退職は05年2月。「会社勤めはまた同じ目に遭う」と思い、自営業(保険代理店)を選んだ。
ファイナンシャルプランナーの資格も取ったが、顧客開拓は容易ではない。収入は3割ほど減った。
それでも、勤務時間の融通が利き、仕事と育児の両立が可能になったメリットの方が大きかった。
昨年には、長男も生まれた。
退職後、元同僚から異動はやはり報復的なものと示唆された。
男性は「男の育休は、『男は仕事、女は家庭』との考えが強い地方では煙たがられるだけ」と話す。
煙たがられるのは、都市部でも同様だ。
大阪府の会社員、伊東孝さん(39)は06年に育休の取得を申請した時の上司の罵声(ばせい)が、
今も記憶から消えない。「やる気があるのか」「出世する気はないんだな」
まるで「落後者」扱いだった。
妻(35)が長女の出産と同時に外資系企業を解雇されたため、育児を任せることも確かにできた。
だが、「育休は会社人間の自分を振り返るチャンス」と考えていた。結局、06年5月から12月まで育休を取った。
同僚らが大賛成してくれたことが救いだった。
会社は清掃関係などを広く手がけるサービス業の大手。
育休中、給与が半分以下に減ったのは大きな負担で、預金がなければ不可能だった。
復帰後、不利益な扱いは見られないが、伊東さんは「『男性の育児』がブームだが、企業社会の中は別」と振り返る。
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