08/03/26 09:19:36
賃貸住宅の入居契約に、退去後の補修費の一定額を賃借人負担とする
条項を盛り込んだのは消費者契約法に違反するとして、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」
(京都市)が25日、マンション賃貸管理会社「長栄」(同)に条項の使用差し止めを求める訴えを
京都地裁に起こした。
昨年6月導入の「消費者団体訴訟制度」(団体訴権)に基づく全国初の提訴。
同NPOは、被害者に代わって業者に不当行為差し止めを請求できる「適格消費者団体」として
訴訟に踏み切った。
訴状によると、長栄は賃貸物件の賃貸借契約で入居者に賃料の2~3か月分を
「定額補修分担金」名目で負担させる条項を設定。
同NPOは判例が賃借人に負担させることを禁じた、通常使用による損耗の原状回復費まで
負担させる隠れみのになっていると主張。
長栄の長田修社長は「契約時にあらかじめ補修費の負担額を合意するもので一定の合理性があり、
消費者に一方的に不利な条項ではない。昨年7月からは盛り込んでおらず請求には理由がない」と反論。
代理人弁護士は「同法違反との原告の主張について争いたい」としている。
一方、同NPO理事長の野々山宏弁護士は提訴後、記者会見し、
「条項を復活させる可能性があり、長栄は再び使用しないと訴訟で約束すべきだ」と指摘。
勝訴の場合、同社への個人の損害賠償請求訴訟で援用でき、他の業者の同様の契約を巡る
訴訟にも有利な材料になる、と意義を強調した。
◆提訴のハードル高く、「適格」認定全国で5団体
「適格消費者団体」になるには首相の認定を受ける必要がある。
消費者の利益保護を主な活動にしているNPO法人か公益法人で、メンバーに弁護士や消費生活の
専門家がいるなどが条件で、現在は全国で5団体が認定されている。
今回の提訴に関係者らは、効果を評価する一方、課題があるとする。
「消費者機構日本」(東京都)は、予備校の授業料など6件について業者側に約款の改善を申し入れ、
訴訟になる前に改善させた。磯辺浩一事務局長は「制度先進国のドイツでは9割が申し入れだけで
問題が解決している。団体も訴訟が起こせるという事実が改善を促す」と分析する。
制度では、ある事案について確定判決が一つ出れば、二度と訴えを起こせないことになっている。
「消費者ネット広島」(広島市)の三村明理事は「情報収集などが不十分なまま敗訴する危険性を考えると、
提訴には慎重にならざるを得ない」と指摘。
坂東俊矢・京都産業大教授(消費者法)は「今回の訴訟が消費者の利益になる成果を出せば
今後の追い風にもなるので、注目したい」と話している。
ソース
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