08/02/13 20:00:07
北畑隆生経産次官がデイトレーダーについて、バカで浮気で無責任だ、
などと発言したことが物議を醸している。この記事を最初に見たときには、
歌手の倖田來未さんの発言が大きな問題且つ話題になったことに乗じて、
官僚の失言をセンセーショナルに取り上げて話題作りを狙ったものなのかと思い、
「あんまり騒ぐなよ」という気分で記事を読んだのであったが、倖田発言とは違って、
この発言は、本人がかなり深く考えた結果に合致するもので、
行政にも影響を与える可能性がある内容なのだということが分かった。
しかも、倖田さんは、発言の非を全面的に認めて謝罪訂正したが、
北畑氏や上司である甘利経産相も、発言の「表現」に関する不適切性は認めていても、
その背景にある認識の誤りは少しも認めていない。この点は重要だ。
北畑氏はデイトレーダーとスティール・パートナーズ社(両者はかなり異なるが)を激しく批判、
特に、デイトレーダーに関しては、「バカで浮気で無責任だから、議決権を与える必要はない」
「配当で少し優遇して無議決権株を上場したらよいのではないか」と述べたという。
政策としては、議決権の権利が強力な「多議決権株」、議決権のない「無議決権株」などを
上場したらいいのではないか、加えて、長期の株式保有者を税制優遇したり、
従業員持ち株会の持ち株に売却制限を課すと共にその議決権行使の強化を行ったりすると
いいのではないか、ということを個人の意見として提言したようだ。
経産省の事務方のトップがこのような認識を持っているということは、見過ごせない問題だ。
先ず、北畑氏は、デイトレーダーに代表される短期間の株主と長期的に株式を保有している
株主との間には大きな違いがあると言いたいようだが、これは正当な区別なのだろうか。
権利の裏側にある株主としての負担を考えると、短期間の株主であっても、
株価や配当の変動に関するリスクを負担している。
また、長期間の株主といっても、任意の時点で保有株式を売ることは自由であり、
株式を一定期間売らないと保証しているわけではない。
基本的に、これまでの保有期間の長さに関係なく、株主として負担しているものは一緒だ。
「バカで、浮気で、無責任」という北畑氏の発言の中で、前の2つに関して投資家は、
部分的であるにせよ納得することができるかも知れないが、「無責任だ」という指摘については、
全く承服できない。
少なくともこの点に関しては、認識を自己批判した上で発言を謝罪・訂正するべきではなかろうか。
短期の投資家に対する、北畑氏の無理解と嫌悪は率直に言って異様だ。
事務方のトップがこんな認識では、経産省が所管する商品取引が、日本では諸外国に比べて不活発で、
残念ながら未だにイメージの悪いものであるのも無理のないことだ、と思わせる。
また、株式が基本的に有限責任による出資であることは当然であり、
株主が利益や必要があれば配当を求めるも当たり前だ。これらを批判するというのは、
「私は株式が嫌いだ」と言っているに等しい。投資家が彼のことを嫌うのもまた当然だろう。
(>>2-5へ続く)
DIAMOND Online 山崎元氏のコラムより抜粋
URLリンク(diamond.jp)
【金融/経産省】北畑次官が「デイトレーダーはばかで強欲で浮気」[02/08]
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