08/02/10 07:40:50
厚生労働省は、75歳以上で「終末期」の患者が医師らと相談し、延命治療の有無などの
希望を文書などで示す「リビング・ウイル(生前の意思表示)」を作成すると、病院などに
診療報酬が支払われる制度を導入する方針を決め、08年度診療報酬改定案に盛り込んだ。
患者本人の希望に沿った終末期医療を実現するのが目的という。専門家らからは、
意思表示や治療中止の強制につながるなど、批判の声が上がっている。
制度は、75歳以上の患者が、治癒の見込めない終末期と診断された場合が対象になる。
医師や歯科医師、看護師などが病状や予後などを説明。患者と医療者双方が終末期と
納得した上で、▽生活支援のあり方▽急変時に延命治療を希望するか▽急変時に搬送して
ほしい医療機関--などを決め、文書や映像などで記録する。
診療報酬点数は示されていないが、13日の中央社会保険医療協議会で決まる見通し。
話し合っても方針が決まらなければ算定の対象にならない。
意思決定の方法は厚労省の終末期医療の指針などを参考にする。だが、指針は複数の
医療従事者で判断することなどを示すだけで、「余命何カ月」など終末期の具体的な定義は
示していない。
日本尊厳死協会の荒川迪生副理事長は「終末期に関しては法的、制度的にも議論が
不十分で時期尚早だ。作成が強制される雰囲気になっても困る。延命治療の定義が明確で
ないため、文書があっても急変時に医療者側が混乱するか、ただの紙切れに終わる恐れも
ある」と指摘する。
厚労省の指針作成に参加した川島孝一郎・仙台往診クリニック院長は「今の医師は
病状説明だけで、その後の生活の話し合いをほとんどしないため、患者は情報不足のまま
決定せざるを得ない。意思は変わる可能性があるのに、一度の説明で文書化したものが
治療中止の金科玉条として使われる危険もある」と批判する。【大場あい】
◇リビング・ウイル
死期が迫ったときの治療方針などについて、事前に本人の意思を書面で示したもの。
日本尊厳死協会は「尊厳死の宣言書」と訳し、「いたずらに死を引き延ばすための延命措置」
などを拒否する独自の書面を作成している。03年の厚生労働省の意識調査では、
リビング・ウイルの考え方に賛成する人は一般国民の約6割。同協会によると、
米国では約3割の人が所持しているという。
▽News Source 毎日jp 毎日新聞 2008年2月10日2時30分
URLリンク(mainichi.jp)
▽厚生労働省
URLリンク(www.mhlw.go.jp)
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