08/02/05 22:18:21
2015年に現在の都道府県制から道州制への移行を提唱している中部経済連合会が4日、
提言「道州制の実現に向けて」を発表した。道州制導入時の国や州、市町村の役割分担を示し、
職員数のほか、税収を国から地方へと移す具体案に言及している。
日本経団連も役割分担案を検討中で、具体的部分まで踏み込んだ中経連の提言が、
今後の道州制議論に影響を与える可能性もある。
提言では、国の役割を、外交・通商、防衛、司法、通貨・金融調整など13事業に限定した。
新設の州が、関税を除く税の徴収を受け持ち、空港・港湾、現在の国道にあたる「州道」、
治山・治水、警察など20事業を担う。
市町村で構成される「基礎自治体」は、一般廃棄物対策や中小企業政策など21事業を分担する。
道州制移行に伴う公務員の配置については、国から地方に、権限や事務、事業の移譲するため、
国家公務員を地方に異動させる点にも言及した。ただ、公務員の人員を急激に削減すると反発を招き、
制度実現の障害になりかねないため、国と地方の06年時点の職員数(約383万人)をもとに、
当初は人員削減を行わない職員配分案を明記した。
具体的には、現在83万人の国の職員を46万人に減らす代わりに、都道府県の職員は現在の160万人から、
州職員として189万人に増強する。市町村職員も、現在の140万人を148万人に増やす。
また、国と地方の歳出規模は07年度で139兆6000億円なのに対し、歳入は104兆6000億円と少なく、
赤字国債で賄っている状態のため、「税体系の見直しは不可避」と明記した。
具体的には、以前からの主張通り、消費税率を5%から15%に引き上げ、国の取り分の4%は現行のまま、
地方(州と基礎自治体)の取り分を11%とする。国税である所得税については、地方に70%を移譲する案も取り入れた。
このほか、州政府の制度や組織、条例などの策定に向け、都道府県や政令市、経済団体のトップらで構成する
「州設立準備協議会」を、全国の各ブロックごとに設置する案など、道州制実現に向けた具体的な取り組みにも言及した。
中経連は、この提言を国や地元自治体、日本経団連などに届ける。中経連は、中部州を東海3県と長野、静岡の
5県で構成することを前提としており、今年秋には、中部州のイメージを取りまとめる方向だ。
■実現へ先導役の心意気 川口会長
中経連の川口文夫会長は4日の定例記者会見で、道州制の提言に関し、「中部地域は日本の中でも元気が良く、
自立性が高い」と述べ、道州制実現に向けた先導役を果たす意気込みを示した。
さらに、「(経済活性化に)苦労している他地域にも受け入れられる制度設計でないといけない」との考えを示し、
全国各都道府県などに受け入れられる案を目指したことを強調した。
このほか、中経連の会議室に掲げていた歴代会長の写真9枚をすべて取り外した点については、
会議室の模様替えの一環であると説明した上で、過去の会長の容姿を訪問者に知らせるよりも、
「地図や中部国際空港の路線図などを掲示し、ビジュアルなものを見ながら議論できるようにしたい」と説明した。
中経連では、太田宏次元会長が中国古陶器購入問題で引責辞任した以降は、新たな退任者の写真を掲示していない。
ソース
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