08/02/05 07:46:01
■こぞって制作
江原氏が死者のメッセージを伝えるフジテレビ系の特番「天国からの手紙」は04年以降、
常に世帯視聴率が10%を超え、20%に迫ることも珍しくない。05年開始のテレビ朝日系
「オーラの泉」も昨年4月にゴールデンタイムに移り、娯楽番組の視聴率上位の常連だ
(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。TBS系の人気占師による人生相談番組もほぼ15%以上の
高視聴率を維持、テレビ東京なども青森出身の霊能者の特番を制作している。
他方で、各地の消費生活センターへの霊感商法の相談は最近急増傾向にある。同連絡会の
紀藤正樹弁護士は「霊感商法は『癒やし』『スピリチュアル』と時々の流行語に便乗し看板を
変える。メディアが敷居を低くしている」と警告する。
■高視聴率、批判しにくく
放送法は放送局に番組基準の策定を義務づけており、各局が準拠する日本民間放送連盟の
放送基準は、占いなどを「断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない」と
している。
■放送基準守れ
「普通の感覚で見れば条文は明らかに守られていない。買収騒動の時に放送局は公共的役割を
強調したが、免許で電波を使っている責任をどう考えているのか」。紀藤弁護士は語気を強める。
BPO検証委委員でもある服部孝章・立教大教授(メディア法)も「放送基準はただの『縛り』では
なく、表現の自由のよりどころとなる放送界の憲法のはず。自ら定めたものを守れないなら
国の規制強化議論をまた招くだろう」と手厳しい。
超常現象や霊能力を扱う番組は、90年代のオウム事件や「宇宙パワーで難病を治す」中国人を
紹介した日本テレビが訴えられた問題以降、各局とも自粛。だが00年以降再び目立つように
なった。
「近頃の番組は、占いや霊視を前面に出さず人生相談的要素を強くし、抵抗感を減らしている。
ここまで数字(視聴率)をとっていると、局内ではなかなか批判できない」。ある局のディレクター
は明かす。
■擁護する声も
番組人気に乗るようにここ数年、女性誌ではしばしばスピリチュアル企画が組まれ、占い
グッズなどを紹介する「すぴこん」と呼ばれる見本市も大勢の客を集めている。
ニューエイジやオカルトブームと違い、宗教色を払拭(ふっしょく)下「オープンさ」が特徴、
と精神科医で帝塚山学院大教授の香山リカさんは言う。「オーラを信じているとふつうに話す
学生が増えた。救われる人がいるのに何が悪い、批判する人は非人間的でやぼ、という雰囲気が
広がっている」
BPOには「意見」公表以降、逆に江原氏と番組を擁護する声が数十件届いているという。