08/01/23 11:12:33
(続き)
トヨタなど自動車メーカーにとって、中印などの新興国市場は北米とともに、
前年比マイナス基調が続く国内を補う「頼みの綱」だ。
中国での新車販売はトヨタが前年比7割増、ホンダや日産自動車も同2割以上の伸びで推移。
各社は先行きの需要拡大を見込み、インドを含めて新工場建設など設備投資を加速させている。
そんな矢先の世界同時株安は、市場が冷や水を浴びせた格好だ。
「株安が新興国の消費に影響することはないだろう」(自動車大手)としつつ、
「株価下落の長期化が心配」(別の自動車大手)と気をもむ。
電機メーカーでは強気と弱気が交錯する。
日立製作所の古川一夫社長は「中国をはじめとするアジア経済は高い成長力を維持しており、
一喜一憂する必要はない」。
ソニーは、エレクトロニクス製品の売り上げで中国や中南米などが約3割を占め、二けた成長を続けている。
「世界的に株安が進むと手元資金が減る人も出てくる。販売の冷え込みが心配」という。
勝俣恒久・東京電力社長は22日の記者会見で、「株価の下落は実体経済(に基づく)というより
心理的なものが大きい。先行きが怪しいから投資を控えようか、という企業マインドの低下が重なることが
一番危険では」と指摘していた。
市場の変調は、経営者の心理だけでなく、個人消費も冷え込ませかねない。
昨年12月の小売業界の統計では、百貨店、スーパー、コンビニの3業態とも売り上げが前年同月を下回った。
2カ月ぶりのマイナスだった百貨店業界は、海外ブランドの宝飾品や時計など高額品の動きが
昨年末から目立って鈍くなっている。各社が声をそろえて指摘するのが、個人が保有する株式の価格下落に伴う
「逆資産効果」だ。「家計を支える主婦も財布のひもを固くしている」(大手百貨店幹部)という。
(記事終)