08/01/22 10:21:00
★二流経済国家への転落 玉置和宏
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政府が国際的な地位の後退を認める時は医師のガンの告知に似ている。筆者自身のがん体験で
言うなら医師が末期がんを本人にはなかなか伝えないことが多い。生存の可能性がほとんどない
4期の末期ガンを親族を通さず本人に告知するのは依然として稀である。没落期の政府と国民の
立場は医師と国民との関係と相似形だろう。
かつて英国病の治療に当たったサッチャー首相は日本を引き合いに出してこう国民を激励した。
「勤勉な日本を見なさい。彼らは英国人と違って努力すれば報われる経済社会をつくりました」。
こうして壊滅していた英国の自動車産業の代わりに日産とトヨタの投資を誘致に成功した。英国的な
労使慣行を劇的に変えて、雇用を守りいまや元気印の「いかすブリテン」を労働党のブレア首相が
継続して発展させた。ガンで言えば3期からの生還である。
それから28年後の先週の通常国会冒頭の政府演説は太田弘子経済財政担当大臣の「二流国家
転落スピーチ」が印象的だった。
「日本経済は世界の動きについて行けずもはや一流とは言えません」と言ってのけた。その時議場は
少なからずどよめいたという。 それ以前から福田康夫首相が「日本はGDP(国内総生産)で世界の
なかで10%を切りました」とかつての経済大国の地位から滑り落ちたことを示唆している。「太田発言」は
政府としてようやく二流国家を率直に認識しそれを公言し始めたのだ。
だが海外ではとっくの昔に日本の世界における衰退の将来を予測している。マスコミは数年前から
「没落ジャパン」を論評していたのである。だが近年ではそれも少なくなった。残念ながらそれはもはや
ニュースではなくなったからである。ジャパン・パッシングからついにジャパン・ナッスイングに
陥落したというTVコメンテーターのききかじりの話も方向違いとは言えない。
絶えず世界の高級紙として日本を論評の一部に取り込んでいたニューヨークタイムズですら、
ここ2カ月で日本の問題を社説でほとんど論じてはいない。唯一の例外は黒マグロの乱獲の責任の
原点は日本にあるとした環境保護の社説だ。鯨と並んでの感もする欧米史観だが、それがそろそろ
グローバルな思考基準にもなりつつある。 それでもほぼ2年前までは記事にしてくれる海外の
一流新聞もあった。ひとつの例では豪紙(シドニー・モーニング・ヘラルド)の2年前の社説である。
小泉純一郎首相の退陣の際だが「日本は中国、ひょっとしたら韓国の後塵を拝するささいな存在に
なるかもしれない。我々はわが国の安全と繁栄の存在であってほしいなら、日本の改革主義者
支援しなければならない」と述べている。これは同紙論説委員の衰退するニッポン応援の
メッセージであることにお気づきだろう。
>>2に続く