08/01/17 12:13:52
新年早々、おめでたくない話だ。スイス系製薬大手のノバルティスファーマは10日、
今年末をもって日本の筑波研究所を閉鎖すると発表した。同社はすでに昨年末、
2,500人に達する人員整理計画を発表したばかり。内外資問わず、主力製品の
特許切れと次世代新薬の創出に苦しむ製薬企業は、リストラによる利益確保に躍起だ。
同研究所の人員は研究者70人と開発担当者53人の計123人。同社は「雇用確保に
最善の努力を尽くす」としているが、グローバル経営の意思決定は当然、
スイス・バーゼルの本社が下すもの。どこまで日本支社の意向がまかり通るのかは
今後の交渉次第といったところではないだろうか。
それにしても、昨年来、外資系製薬企業の研究拠点としての日本離れが目立つ。
昨年1月に、米ファイザーが名古屋中央研究所の閉鎖を発表したことは記憶に新しい
が、新薬上市に繋がる具体的な成果が求められるのはある意味当然として、国内で
創薬に携わる研究者の雇用環境は「厳しい」のひと言だろう。
「イノベーション」という革新的新薬の評価は、市場拡大再算定が断行された年末の
薬価改定によって、幻想であったことが既に明らかになっている。これに嫌気が差した
とは言わないが、薬価が新薬の「川下」であるとすれば、研究は「川上」に位置するの
だから、相次ぐ国内研究所の閉鎖は、少なくとも「創薬拠点として、日本への
直接投資は不経済」という外資の三行半(みくだりはん)に等しい。
外資系メーカー・トップは「日本は世界第2位の重要な医薬品市場」と口を揃える。
しかし、このまま薬価の恣意(しい)的な引き下げが続けば、川上の研究拠点としては
おろか、川下にある市場としても、日本が見離される日は近いのかもしれない。
完全撤退は非現実的として、セールス・フォースの縮小、すなわちMRの削減も十分に
考えられるのではないか。自社製品の販売・販促を国内他社に委託するという選択肢も
あるし、現にそうした方針に舵を切る外資は既に出始めている。
ソースは
URLリンク(www.cabrain.net)
依頼を受けてたてました。