08/01/13 19:49:17
欧州連合(EU)の欧州委員会は昨年12月、乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を
2012(平成24)年までに1キロ走行あたり130グラム以下に削減する新規制の導入を決めた。
この基準を満たすことのできないメーカーには巨額の制裁金が科せられる。
燃費性能に優れた新車開発を続けてきた日本メーカーにとっても「予想以上の厳しい規制」で、
各社の欧州商品戦略にさまざまな影響を与えそうだ。
欧州には大型車を主力とするメーカーも多く、環境技術をめぐる新たな提携の呼び水になる可能性もある。
日本自動車工業会の張富士夫会長(トヨタ自動車会長)はEUの規制強化に対し、
「環境規制が厳しくなるのは仕方ないが『(相当)厳しいものが来たな』という感じだ。
(新規制に)対応できるよう努力する」と感想を述べている。
先進国の環境規制は年々厳しさを増す。日本国内でも平成27年までに新燃費規制を達成する必要があるが、
新車のCO2排出量は1キロ走行あたり約135グラムまで。EUの新規制はこれを上回る厳しい内容だ。
日本メーカーにとって、小型化や省燃費化といった環境技術の開発は「得意分野」。
しかし、EU新規制は、規制強化を想定したエンジン開発を進めてきた国内各社でさえ、
「簡単に達成できる数字ではない」(マツダの井巻久一社長)とそのハードルの高さにため息をもらすほどだ。
このため、当面の対策は、各社が開発に注力する電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせた
低燃費のハイブリッド車と、低燃費・低公害を両立した次世代ディーゼル車が軸になりそうだ。
トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」のCO2排出量は1キロ走行あたり104グラム(英国交通省調べ)。
すでにEU新規制をクリアしており、販売の“追い風”になる可能性もある。
ホンダは「EU新規制に対応するのはディーゼル車」(福井威夫社長)とし、地域や車種に応じて
ハイブリッドとディーゼルを使い分ける戦略だ。
一方、地元の欧州勢など大型車を中心とするメーカーは、燃費の良い小型車の販売比率を増やして
平均排出量を下げる作戦をとりそうだ。独BMWは小型車部門「MINI(ミニ)」、独ダイムラーは子会社で
小型車専門の「smart(スマート)」を抱えており、こうしたブランドを再強化する可能性もある。
ただ、環境重視の流れは加速し、EUの規制も「一層厳しくなる可能性がある」(輸入車メーカー)。
そうなれば、ハイブリッド車など現行の「エコカー」では対応しきれず、電気自動車や燃料電池車などの開発強化は不可欠だ。
自動車業界では環境技術を軸にメーカー同士の協力が進んでおり、EU新規制が国境を越えた新たな提携を誘発する可能性もある。
ソース
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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