08/01/11 17:44:39
東京市場の独り負けは国の無策が生んだ“官製暴落”
URLリンク(diamond.jp)
(略)
■前年比10%超の下落で 昨年、東京市場は独り負け
昨年、日本株市場は年間でみて、日経平均がマイナス11.1%、TOPIXが同じく12.2%とそろって2ケタの
下落を記録した。世界の中では、“独り負け”市場なのである。
この点で言えば、サブプライムローン問題の直撃を受けたニューヨーク株式市場は、東京と対照的に、
ダウ工業株30種平均がプラス7.2%、ナスダック総合指数が同10.8%と年間を通じて株式相場は上げた。
さらに、BRICSの代表選手である中国株式市場の上海総合指数は前年比98.4%上昇とほぼ2倍に
上昇した。このほか、インドのSENSEX30も同46.6%上昇という実績を残した。
言い換えれば、主要な20市場を見た場合、前年比10%を上回る下落をしたのは、東京市場だけという
体たらくなのだ。また、東京株式市場の動向をインターネットやBSのデジタルテレビに動画で
配信しているストックボイスによると、昨年12月半ばまでの世界49市場の年初からの騰落率は、
最下位がアイルランド(ダブリン)市場で、東京市場のパフォーマンスはそれに次いで48位だったという。
こうした東京市場の低迷の背景には、「成長力の面で、新興国ばかりか、先進国にも続々と
抜かれてきた現実がある」(米系証券会社エコノミスト)。内閣府が昨年末に公表した統計は、
そのことを端的に表している。それによると、先進国クラブと呼ばれるOECD(経済開発協力機構)
加盟国の中で、93年に2位の座にあった日本の1人当たりGDPが、06年には18位まで後退した。
さらに言えば、2000年代に入ってからの日本の名目成長力は、平均して0.3%程度。OECD加盟
30ヵ国の平均(5.1%)と比べても低水準で、ダントツの最下位である。
言い換えれば、政策的な貧困から、長年、日本経済がデフレを脱却できず、低成長に喘いできた
結果が、現在の株式相場に投影しているのだ。つまり、“官製暴落”と呼ばざるを得ない現実が、
そこには存在している。
■政府に“官製暴落”から 抜け出す政策能力は無いのか
国力を回復し、株式市場の低迷を脱却するために優先すべきは、農業、金融、流通、運輸、教育、
医療といった、諸外国に比べて生産性や効率が悪いとされる分野の競争力の強化である。そのために、
規制緩和や独立行政法人の民営化といった経済政策が重要なのは明らかだ。こうした分野は、
公共事業予算の拡大などと違い、財政再建の足枷がない。
ところが、福田政権は昨年暮れ、これらの施策でことごとく官僚に迎合してしまい、抜本策を
講じられなかった。
例えば、本コラムでも年末に指摘した独立行政法人改革。101の対象法人を16減らしたと町村長官らは
胸を張ったが、実態は中小法人の統合という数合わせに過ぎず、独法が囲い込んでいる業務が
民間に移管されたわけでないのは、すでにお伝えした通りである。
また、やはり、政府の規制改革会議(議長:草刈隆郎日本郵船会長)が年末に第2次答申をまとめた
規制緩和でも、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の全面解禁が見送られるなど、官僚の
根強い抵抗にあって抜本策が実現しなかった。この責任も、福田康夫首相らの行政府の長としての
指導力不足にあることは明らかなのである。
>>2に続く