07/12/28 11:34:04
-続きです-
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■日本の労働現場は現代の地獄絵図に
一方、本来なら民間の労働条件をリードするべき、大手企業の状況はどうなって
いるのだろうか? 現在、日本の外貨獲得高は50兆円あまりだが、トヨタ、キャノン、
ソニーなど大手10社で3分の1、上位30社で半分を稼いでいる。その利益の8割は、実は
海外市場への輸出と部品供給で占めており、日本の国内市場の利益は2割にすぎないのだ。
ということは、「海外第一、国内は二の次」で、国内市場がいくら貧しくても大儲けしている
のが、トヨタをはじめとする大手企業の現状だ。
そのうえ、海外で儲けた分を国内の優遇税制で納税すると、法人税は売上高のたったの1%。
なぜかというと、通常の法人税は40%だが、実際にはいろいろの特例措置があり、ほとんど
ゼロに近いような税率になってしまうのである。
恐るべき大企業優遇措置。その大企業の現場では、「国際競争力の維持」という名目で、
人間破壊に近いような派遣労働や偽装労働がまかり通っている。
青森や秋田など失業率の高い県から人を集めて、トヨタの本拠地、愛知県へと送り込んでいく
システムができあがっている。この役目を担うのが、人材派遣業者で、いうなれば現代版
“奴隷船”ともいうべきか。
企業としては、固定費としての人件費から、経費としての外注加工費に転換させて、利益を
とことん追求する。そのしわ寄せが、労働者個人にまわされているということだ。
■まさに21世紀型帝国主義が確立される
経団連会長の御手洗冨士夫氏(キャノン会長)は、さらに安く人材の確保を目指して、
東南アジアをはじめとする外国人労働者の導入を推進しようとしている。これが採用されれば、
経営者正規社員契約社員パート社員派遣社員(外国人社員)
という見事なピラミッド型の業務形態になり、日本人派遣社員は外国人労働者と競って仕事を
維持するために、ますます劣悪な労働条件で働かざるを得なくなる。まさに、日本の労働現場は
現代の地獄絵図と化す。業界内でも、
大企業下請け企業(第一次第二次第三次など)人材派遣会社
という従属関係が固定化されて、21世紀型帝国主義が確立されることになるのだ。その地獄の
仕組みからどうやって抜け出すかは、本人次第だが、いったん派遣業務に就いてしまうと相当に
困難だと思われるし、その方法もなかなか見つからない。現在のところ、各個人の奮闘に期待する
しかないのが現状なのだ。
-以上です-
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