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ドル/円は11月下旬に107円台まで下落した後、113円台へと反発した。
サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に伴う先行き不安で弾みの
ついたドル安ムードは、いったん小康状態にある。
しかし、リスクは引き続き円高/ドル安方向にくすぶっている。リーマン・ブラザーズは
2008年前半に95円もあり得ると予想している。それはどのような状況で生じ得るのか。
<サブプライムから漏れ出す悪影響>
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は今年7月、サブプライム問題に伴う最大損失額
を1000億ドルと見積もった。もし、この程度でとどまったら、米国経済の若干の減速、
デカップリングする世界経済の堅実な伸び、新興市場や商品価格の堅調といった展開が
メーン・シナリオになったはずだ。
しかし、実際にはサブプライム関連証券は金融機関や投資家が転売できず、塩漬けせざるを
得ない代物だった。結果として信用市場の機能不全は続き、一部金融機関の経営について市場の
不安をかきたてた。米国では住宅部門の不調がより深く長くなる公算であり、2008年の
経済成長のコンセンサス予想も2%を割り込んだ。
米国経済の軌道が低くなり、信用市場のまひが拡散することで、世界経済に悪影響が漏れ出して
いる。米国と似た症状を見せる英国はもとより、ユーロ圏も景気・金利サイクルの
ピークアウト感が強まる恐れがある。アジアを筆頭に新興諸国経済は底固さを保つとみる
ものの、デカップリング論を手放しに信頼できる状況ではなくなった。
<ドル安・ポンド安・ユーロ安、そして円高>
米景気が減速し、FRBが利下げを継続する循環局面で、ドルは減価していくのが通常の
パターンである。この間、日本経済も悪化しようが、内外の景況・市況が悪化し、投資家の
リスク志向が損なわれると、米国など経常赤字国(債務国)は資金繰りに窮して通貨安となり、
債権国通貨である円は否応なく高くなりがちだ。
ただ、2008年は英・欧でも景気が減速し、利下げに向かう可能性が高い。先んじてポンドや
ユーロに対して売られてきたドルは、すでにかなり過小評価されている。逆に言えば、過大評価
されているポンドやユーロは、2008年には自らの景気・金利局面を反映して下落し、
ポンド/ドル<GBP=>が1.9ドル、ユーロ/ドル<EUR=>が1.4ドル水準へ調整されると
想定している。
円は、当面のドル下落場面で上昇し、100円付近で当局の為替介入と市場との攻防に
なることもあり得る。その後、ポンド、ユーロ、さらに豪ドルなど資源通貨の下落傾向が
強まり、ドル指数が持ち直す一方、円はクロスからの上昇圧力にさらされよう。
続きます。ソースは
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