07/12/16 20:55:36
労働力不足の分野では、外国人の単純労働者を受け入れてもよいと考える人が63%いることが、
毎日新聞の全国世論調査(電話)で明らかになった。政府は、単純労働者を認めない方針だが、
労働力不足の分野で容認する人が半数を超えていた。しかし、日本人の雇用に悪影響があるなどの
理由で、受け入れに反対する人も31%あり、方針の転換に慎重な人たちも少なくない。
外国人労働者については、88年6月に閣議決定された「第6次雇用対策基本計画」で「専門的・
技術的労働者は積極的に受け入れ、(単純作業の繰り返しである)単純労働者は慎重に対応する」
とし、単純労働者は事実上受け入れない施策が続けられてきた。政府方針について聞いたところ、
労働力不足の分野での受け入れ容認が58%あり、「条件を付けずに単純労働者を受け入れる
べきだ」が5%だった。一方、「現行通り、受け入れるべきではない」は31%だった。「受け
入れるべきでない」と回答した人に理由を聞くと、「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」
が51%と最も多く、次いで「治安が悪化する」35%、「風習の違いによるトラブルが起きる」10%、
「社会保障費や教育費などの負担が増える」3%だった。
社会保障や教育費の負担を主に誰が担うかは、「雇い入れる事業主」と「労働者が必要な産業界」が
いずれも38%。「外国人労働者自身」「国民全体」は双方11%と低かった。
◇若者は容認傾向
毎日新聞の世論調査では、約6割が外国人の単純労働者受け入れを「労働力不足の分野」という条件
付きで容認したが、特に若者にその傾向が強かった。しかし、受け入れ拒否の理由に、労働環境悪化を
挙げる人が多かったことは、労働力不足への懸念に加え、雇用不安が広がったことを示している。
労働力不足の分野で容認した人を年代別でみると、70代以上は44%と半数以下だが、20代は73%に
達していた。若者に抵抗感が薄まっているとみられる。
04年5月の内閣府世論調査では、(1)「単純労働者は受け入れるべきでない」26%(2)「労働力が
不足する分野では受け入れてもよい」39%(3)「条件を付けずに受け入れるべきだ」17%―だった。
調査方法が違うため単純比較はできないが、今回調査では、(2)の条件付き受け入れが19ポイント
増え、逆に(3)の条件なし受け入れが12ポイント減ったのが目立つ。また、受け入れ拒否の理由は、
内閣府調査では、「治安が悪化する」が74%と突出し、「風習の違いによるトラブルが起きる」49%、
「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」41%だったが、今回は、治安悪化は少なく、雇用への
懸念が半数あった。04年当時は不法滞在者が急増しており、内閣府調査では治安悪化への懸念が色濃く
出た。今回は雇用不安が影響したとみる。【外国人就労問題取材班】
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