07/12/14 13:57:05
[東京 14日 ロイター]パチンコ・パチスロ機メーカーの株価がさえない。法律の改正でパチスロの
射倖性(ギャンブル性)が低められ人気が急落。ホールの閉鎖や休業が相次ぎ、マーケットが
縮小しているためだ。メーカーは魅力ある機種を打ち出すのに必死だが、大々的なテレビコマーシャル
(CM)などで認知度を上げることができる資金力豊富な大手メーカーがシェアをさらう構図になっている。
<1年で株価半値>
パチスロ機製造のアビリット(6423.OS)は11日、2007年12月期の業績予想を大幅下方修正した。当初、
最終赤字は14億7500万円を見込んでいたが、72億5600万円と5倍近くに赤字が膨らむ見通し。株価は年初
(1月4日)から半分以下に落ち込んでいる。その要因をたどると3年前の法改正にさかのぼる。「一度に
10万、20万円もうかる代わりに一度に10万、20万円損をすることもある」(大手パチスロメーカー)と
言われたギャンブル性の高さに当局が眉をひそめ、2004年7月にパチスロの射倖性を抑える法律が
施行された。一方でパチンコの射倖性は若干高められたが、パチスロの人気急低下を相殺するには
至らなかった。アビリットによると、2006年末に2086あったパチスロ専業店は今年12月末に800に
落ち込み、パチンコ・パチスロホール全体でも前年末に約1万4500あったのが、今年末には1万2500に
減少する見通しだ。パチスロ人気の低下がパチンコにも影響を及ぼしている。経過措置として3年間が
設けられ、その間は射倖性が高い前の機種を使うことができたが、それも今年9月まで。メーカーと
ホールは一斉に新機種への変更を進めているが、「置き換え作戦」が思うように進まなかった
アビリットなど一部のメーカーは苦戦を強いられている。
<広告費が前年比5倍>
レジャー白書2007(社会経済生産性本部)で最盛期の1995年と2006年を比べてみると、パチンコ・
パチスロを合わせた市場規模は30.9兆円から27.4兆円まで縮小。一人あたりの費用(年間)が
8.7万円から11.9万円に上昇しているため金額ベースの縮小速度はそれほどでもないが、参加人口は
2900万人から1660万人に大きく減少した。パチンコ・パチスロメーカーの株価も総じてみれば
低下傾向が続いている。
ただ、生き残りをかけた「戦国時代」のなかでも業績を拡大させている「勝ち組」もいる。SANKYO
(6417.T)の08年3月期経常利益予想は前年比8.6%増の590億円。証券アナリストは635億─700億円を
予想しており、さらに拡大する可能性もある。ポップス歌手をモチーフに使った「KODA KUMI」は
今年7月の出荷開始から9月末までに13万台を売り上げた。11月18日発売予定の「創聖のアクエリオン」も
10万台を超えるヒットになると予想するアナリストが多い。株価も年初来高値からの下落率が23%と
他のメーカーよりも底堅い動きを示している。「KODA KUMI」や「アクエリオン」は大々的にテレビCMで
宣伝された。SANKYOの広告宣伝費(連結ベース)は前期の33億円から今期は166億円と約5倍に増加する。
【以下>>2以降に続く】
ロイター URLリンク(jp.reuters.com)