07/12/10 07:10:50
昨年、「100年に1度」という深刻な干ばつに見舞われたオーストラリアが、今年も雨不足に
あえぎ、小麦や牛肉、ワインの生産農家が大打撃を受けている。地球温暖化との関連も指摘
されている干ばつは確実に増えており、同国が、先進国に温室効果ガス削減を義務付けた
京都議定書を、急きょ批准した背景ともなっている。(オーストラリア南東部で、勝木晃之郎、
写真も)
内陸に向けて車を走らせると、徐々に緑が減り、白っぽい草地が目立ち始めた。シドニーの
西約300キロにある人口1万3000人の町カウラ。ここ数年続く干ばつの直撃を受けた地域の一つだ。
「最悪だった去年は収穫ゼロ。今年も生育期の7、8月に雨が降らず、平年の6割減だよ」。
500haの小麦畑を持つブライアン・ブラックさん(68)が刈り取ったばかりの畑に目をやった。
かんがい設備はなく、雨だけが頼り。「温暖化の影響を疑う仲間は多い」とブラックさんは話す。
町外れにブドウ畑とワイン工場を持つパメラ・ハッキネンさん(60)も「4、5年前から気候が
がらりと変わってしまった。雨が待ち遠しい」と嘆く。水不足でブドウの収量が落ち、普段なら
3銘柄を製造するワインも「今年は『白』の1種類だけ」という。業界団体によると、今年の
同国内のブドウ生産量は平年の3割減の見込み。ここ数年で約7500戸のブドウ農家のうち1000戸が
離農した。
同国政府は小麦など主要穀物の本年度の生産量が平年の42%減になると予測する。原材料不足で
地方の工場を閉鎖する食品メーカーもあり、地域経済は崩壊の瀬戸際だ。飼料となる穀物の高騰で
牛肉などの値上がりも続き、同国内の食品価格は過去一年間に約10%も上昇。これが日本の
パンやめん類、チーズなどの値上がりにもつながっている。
先の総選挙で政権奪還を果たした労働党のラッド新首相は前政権の方針を転換し、京都議定書を
批准。バリ島で開会中のCOP13にも出席し、「ポスト京都」の枠組みづくりにも積極的に加わる意向だ。
だが、その間にも干ばつは続き、「雨が降っても、元に戻すには数年かかる」(ハッキネンさん)と
多くの農家は眠れない日々を送る。
▽News Source 北海道新聞 2007年12月09日07時45分
URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)
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「来年こそは十分な雨が降ってほしい」と話し、乾燥した小麦畑を指さすブラックさん
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