07/11/22 01:40:26
首都圏では、しばしば黄色い看板のラーメン店の前に長い行列ができているのを見かけることがある。
その店こそ、ラーメンファンの間では知らない者はない「ラーメン二郎」である。
ラーメン二郎の本店は慶應大学三田キャンパス前にあり、多くの人に愛されてきた。
ラーメンではないラーメン
私が初めて三田のラーメン二郎へ出かけたのは20年以上前のことである。
その当時から長い行列ができていた。
もともとこの店には独特の掟があるという噂は聞いていたのだが、
軽い気持ちで出かけた私は、すぐに後悔することになった。
ある程度行列が進むと、店の中で客が注文している様子が見えるのだが、
そのシステムがさっぱりわからないのだ。
不安にかられた私は、すぐ前に並んでいる学生風の男性に尋ねた。
「ここではどういうふうに注文すればいいんでしょう?」。
しかし、「見ていればわかりますよ」とあっさり受け流されてしまった。
そうこうしているうちに、自分の順番が段々迫ってくる。
前の人たちの注文を聞いていると、大とか小とか言っている。
席につくと店主から注文を聞かれたので、適当に「小」と答えた。
ところが、盛り付けの段階になって、また店主が客に注文を聞きだした。
一体どうなっているのであろうか……。
今度は「大ダブル野菜ニンニク」だの、長い「呪文」のようなものを次々に唱えている。
ますます混乱してきたが、とりあえず隣の客と同じく「大ダブル野菜ニンニク」と言ってみた。
すると「えっ、大?」という声とともに、主人の手が止まった。
他の客が一斉に私のほうを向く。
恥ずかしい。
どうも最初に麺の量「大・小」を決め、盛り付けの段階でトッピングを指定するらしい。
「小」と言いなおすと、主人は黙って野菜とニンニクをのせ、カウンターの前に置いた。
そのラーメンがまた驚きだった。
丼にぎっしり詰まった麺の上に、具がバベルの塔のごとく積みあがっているのである。
チャーシュー(この店では豚と呼んでいる)はまるで塊のようだ。
食べても食べても減らない。丼の底からは麺がいくらでも出てくる。しかも、スープは脂でギトギト。
なんとか食べきったが、あまりの満腹感と恥ずかしさから逃げるように店を出た。
このように私の二郎初体験は散々なものだったが、同時にそのラーメンと店の雰囲気の強烈な個性は忘れられないものになった。
ラーメンファンの間ではよく「二郎はラーメンではない。二郎という食べ物だ」ということが言われる。
これは的を射た言葉だと思う。
その後、三田の本店で修業し、弟子として二郎を名乗る店、その流れを汲む店、
本店とまったく関係はなく、二郎のラーメンに影響を受け似たようなラーメンを出す店など、
二郎系ラーメンは首都圏ではかなりの数になった。
そして、その多くが行列店となっている。
>>2に続く
ソース:ソース:ダイヤモンド オンライン inside
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