07/11/04 16:24:43 njfFPa5o0 BE:301497582-PLT(12000) ポイント特典
90年代初頭、NHKを中心とする日本のテレビ業界は、次世代テレビの規格として、
アナログハイビジョン方式と呼ばれる高品位放送の技術で世界に打って出ようとしていた。
NHKだけでなく郵政省も電機メーカー(特にソニー)も、世界中のテレビを日本発の
ハイビジョンで埋め尽くす夢を描いたのである。ところが、日本が自動車に加えてテレビでも
世界を席巻しかねないと恐れた米国は、対抗策としてデジタル方式を打ち出した。すると
郵政省はあっさりとアナログハイビジョンを捨て、デジタル方式の採用に傾いていく。
放送が日米貿易摩擦の火種になることを恐れたのである。そして97年、郵政省に「地上
デジタル放送懇談会」といわれる組織が設置され、翌年報告書が提出された。デジタル化の
意義や経済効果(10年間で約212兆円)などが盛り込まれた推進計画で、現在の流れは
ここでできあがった。
【中略】
しかし、画質はよくても番組の質はどうか? 芸能人が無知を競い、ただじゃれ合うだけの
バラエティ番組を高精細で見たところで、何の喜びもない。誰のために、どんな放送をする
べきか、きちんと議論しないまま、ここまで来てしまった感は否めない。おそらく、このまま
突き進んだところで2011年7月24日のアナログ停波、地デジ完全移行は不可能だろう。病的な
までの視聴率至上主義に陥っているテレビ局が、「テレビを見られない世帯が出る」という
事実を無視できるはずがない。遠からず計画延期の決断が下されると考えられる。そのときが、
国民全体で「放送のあり方」を考え直す機会となればいいのだが……。(『週刊ダイヤモンド』
副編集長 深澤献)
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