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9月中旬、ネパールから1人の少女が両親に伴われ来日した。少女は、現地の医師から
死を宣告されていた。唯一の希望はインターネットで見つけた東北大での治療。しかし、
家族には、日本の高額な医療を受けられるほど金銭の余裕はなかった。それでも「日本に
行けば助けてくれる」との一念で渡航してきた。家族に頼られた医師は少女を助けようと、
「基金」を設立し、寄付を募ることにした。(豊吉広英)
「もう手に負えない。助けることはできない」
ネパールの首都、カトマンズの小児病院。アーバ・ドゥワディちゃん(7)が医師からこう
宣告されたのは8月5日のこと。夏休みを利用し、家族でカトマンズを訪れていたアーバ
ちゃんを襲った激烈な腹痛。腸捻転を起こし、壊死(えし)していた小腸と右結腸は緊急
手術ですべて摘出されていた。
小腸を摘出した場合、患者は口から摂取した食物を消化・吸収できず栄養失調に陥る。
通常、残った腸の機能が回復するまでカテーテルで高カロリー輸液を投与し、場合に
よっては小腸移植が必要になるが、ネパールでは無理な治療だった。
「どこか助けてくれる医師はないか」。親類が必死にネット検索をかけた結果、目に
とまったのが、小腸移植の実績を持つ東北大学医学部(仙台市)の小児外科だった。
連絡を受けた大学側は困惑した。助けたい。でも費用の問題がある。無保険なら通院で
カテーテルを使って栄養投与するだけで年間200万~300万円。入院費、滞在費。
小腸移植が必要ならその手術費…。「費用が払えるめどがつけば」と条件を付けた。
ネパールでタバコのセールスをする父、アルンさん(28)の月収は日本円で約1万円。
借金などで約70万円をかき集めたが、とても足りなかった。
9月15日夜。小児外科の天江新太郎准教授に突然メールが届いた。「今飛行機に
乗り込んだ。16日朝に到着する」。急いで成田空港へ行くと、そこには腹部から大量に
腸液や便が漏れだし、車いすに座ることもできない少女と両親の姿。「とにかく日本へ
行こう」。決死の渡航だった。
来日から約3週間。アーバちゃんは体力が戻りつつあるが、今後の検査結果次第では
予断を許さない。日本語のできない両親は留学生の家を間借りした。用意した現金は残り
少ない。
天江准教授らは「アーバちゃん基金」を設立した。「医師が(募金を)募っていいか迷った
が、目の前で苦しむ子供は見捨てられなかった」(天江准教授)。
アーバちゃんは元気になったら、「外に出て遊びたい」と話している。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
ベッドの上に座るアーバ・ドゥワディちゃん。病院では新聞の折り込み広告の食べ物を見るのが楽しみという
URLリンク(sankei.jp.msn.com)