07/09/04 04:09:07
医師不足が深刻な兵庫県養父市の公立八鹿(ようか)病院(約420床)に、
医師2人を派遣してもらうため、兵庫県が鳥取大医学部(鳥取県米子市)に
研究費名目で3000万円を寄付することがわかった。
総務省によると、長崎県などが地元の国立大に寄付して医師派遣を受けたケース
はあるが、県境を超えた派遣は異例という。
兵庫県は「へき地の医師不足に悩む自治体のモデルケースになる」としており、
新たな医師確保策として注目されそうだ。
八鹿病院は、養父市と香美町が作る組合が運営する但馬地域の中核病院。
しかし、県内の医大が医師不足を理由に派遣医師を引き揚げ、2004年に52人
いた医師は43人に減少し、お産の取り扱いもできなくなる事態に陥りそうに
なった。
このため、同県は、隣接県にある鳥取大に医師派遣を依頼。承諾を得たため、
今年2月、3000万円を予算計上した。
自治体が国立大学法人に寄付する場合、「地方財政再建促進特別措置法」で無駄
な支出を防ぐために、「住民の福祉を増進する研究」に対象を限定している。
総務省も当初、「医師派遣は県内の大学に協力してもらうべきだ」と難色を示した
が、兵庫県は「但馬地域と鳥取は同じ生活圏で、派遣医師には、八鹿病院を拠点に
して肺がんについて研究してもらう」と説得。
8月上旬になって総務省の了承が得られた。派遣医師は10月に着任する予定で、
研究の合間に同病院で週3日程度診察する。
鳥取県医療政策課は「鳥取大から県内に派遣してもらっている医師数が減ると困る
が……」としている。
NPO法人「医療制度研究会」副理事長の本田宏・埼玉県済生会栗橋病院副院長は
「医師確保のため自治体が他県に手を伸ばすのは、地域医療が追い込まれている
証拠。医師不足を解消するため、国は早急に抜本的対策に取り組むべきだ」
と話している。
ニュースソース:読売新聞
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