07/07/22 17:07:07
北朝鮮が軽水炉要求、今後の最大争点に
【ソウル=平野真一】6か国協議の北朝鮮首席代表、金桂寛(キム・ケグァン)外務次官は21日、
寧辺(ヨンビョン)の核施設解体には軽水炉の提供が先決とする考えを明らかにした。
8月中に開かれる作業部会や9月初めの6か国協議本会合では、北朝鮮が取るべき措置と、
重油95万トンの追加支援など見返り措置の具体的手順を詰める予定だが、
軽水炉提供問題が最大の争点となる可能性が出てきた。
韓国の聯合ニュースによると、18~20日に6か国協議首席代表会合に出席した金次官は21日、
帰国前に北京空港で記者団に、「いま我々が論議しているのは、既存の核計画、
すなわち寧辺の核施設の稼働を中断、無能力化し、究極的に解体することだ。
そうしようとするなら、軽水炉が提供されなければならない」と明言。さらに、
「我々がすることは明白だが、もう一方は準備が足りないようだ」と
米国などの姿勢を批判した上で、「核兵器(問題)解決の基本は重油でなく、
我々は重油を食べる寄生虫ではない。(敵視)政策を変えよということだ」と述べた。
金次官はまた、2月に6か国が合意した「次の段階の措置」の一つである
「すべての核計画の申告」に核兵器を含めるかどうかについて、
「信頼が構築されるかどうかを見て決める」と語った。韓国首席代表、
千英宇(チョンヨンウ)外交通商省朝鮮半島平和外交本部長は
「北朝鮮が申告内容に核兵器を含めると確約した」と繰り返し述べていたが、これを否定したものだ。
日米両国代表団によると、金次官は今回の首席代表会合でも軽水炉問題について
「複数回」にわたって言及したが、米首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補は、
北朝鮮側が無能力化の見返りとして軽水炉を要求したわけではないと主張。
軽水炉問題については、2005年9月に採択された共同声明の通り、
「適当な時期に議論する」としている。北朝鮮が核を放棄しない限り、
軽水炉提供などあり得ない、というのが日米の基本的立場だ。だが、
金次官の発言は、重油の追加支援だけでは「次の段階」のもう一つの柱である
「核施設の無能力化」に応じない考えを明確にしたものだ。
軽水炉問題は、1994年の米朝枠組み合意で核施設を凍結する見返りとして
軽水炉供与が決まりながら、2002年秋に北朝鮮の高濃縮ウランによる核開発が発覚し、
供与が取りやめになった経緯がある。北朝鮮はこのため、軽水炉提供を米国の
「敵視政策」転換の象徴と見なし、要求してきた。北朝鮮軍部が、
自らの管轄である核問題に関して譲歩するからには、
軽水炉提供が絶対条件との強硬姿勢を取っているとも言われる。
北朝鮮が作業部会や次回6か国協議などで軽水炉提供を強く要求してきた場合、
問題がさらに複雑化することは必至だ。
(2007年7月21日22時16分 読売新聞)
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