07/06/03 13:15:40
来年四月、大阪府茨木市に開校することが決まった中高一貫教育のインターナショナル
スクール「コリア国際学園」(KIS)。関係者は「在日コリアンにとって待ち焦がれた学校」
と期待を膨らませ、開校へ向けた準備を本格化させている。
日コリアンら有志八人が二〇〇五年、かねて話題に上っていた「理想の学校づくり」に
ついての議論を本格的にスタート。〇六年三月、詩人の金時鐘氏を委員長に設立準備
委員会を立ち上げた。
金委員長は民族教育の大きな成果となるべき事項を母国語の読み書きとした上で、「在日
コリアンにとって母国語が融和の言葉になってない」と指摘。歴史教育でも「韓国系と朝鮮系
で相入れない矛盾したものが続いている」と話し、コリアンとしての固有の民族教育を受け
させるとともに、アジアの視点から国際的に活躍できる人材を輩出する学校が必要と説く。
同校は〇九年四月に「各種学校」の認可を受ける見込みで、高校で高校卒業程度認定
試験を受けさせて、大学受験へのスムーズな流れを確保する。授業は韓国語中心で行い、
日本語のほか、日本の公立学校の約三倍の時間を設けた英語の授業などの語学教育
が特徴。朝鮮半島の近現代史については、韓国の教科書を基に「これまでの偏った民族
教育を脱した」独自の教科書で進める。
今後の課題は生徒数の確保と、開校や当面の運営のために必要な約九億円の寄付金
集め。キャンパスは八月末から、同市豊川二丁目に建設を予定しており、敷地面積は
約五千八百平方メートル。生徒は国籍を問わず、推薦入試(十月)と一般入試(二月)で、
初年度は中、高それぞれに三十五人を募集する。十日の大阪会場を皮切りに東京や神戸
などで学園説明会を開催し、学校の特色などを訴えていく。
寄付はすでに約40%が集まっているという。今後も在日コリアンが営む企業などを中心に、
社会貢献として寄付できるシステムをつくり上げていく考え。文弘宣常務理事は「経営者に
グローバル化された人材は必要不可欠であり、『こういう学校を待っていた』という企業人の
声もいただいている。見通しは明るい」と話す。
五月末には設立発起人、賛同人の集いが開かれ、開校に向けてのビジョンなどを語り、
意識を高めた。理事長に就任する東京大大学院の姜尚中教授は「東京一極集中の日本で
西日本が生き残っていくかどうかは、東アジアのダイナミズムを引き入れることができるか」
と、学校が大阪の国際化にとっても大きな意味を持つことを強調。年に一、二回は自身が
講師を務める考えを明かし、「講義に地元の人々も参加していただくなど、地域とともに歩んで
いくことのできるシステムも持ちたい」と話していた。
■大阪日日新聞
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