07/05/31 17:09:16
国内で消費するウナギの半数以上を占める欧州産ウナギ(ヨーロッパウナギ)の輸出入が、
野生生物の保護を目的としたワシントン条約の対象種として、大幅に制限される見通しとなった。
条約事務局に加え、水産資源を管理する食糧農業機関(FAO)も、「規制は妥当」と結論づけ
ているためで、来月3日からオランダで始まる条約締約国会議での議論を経て正式決定される。
これとは別に、台湾の対日輸出制限の動きもあり、ウナギの価格高騰は免れない情勢だ。
ウナギは卵からの完全養殖が難しく、天然の稚魚(シラス)を漁獲して養殖している。しかし、
国内で取れるニホンウナギの稚魚の漁獲量は1960年代から減り始め、ここ数年は70年代の
約10分の1(20~30トン)まで激減した。
代わって、フランスやスペインなどの沿岸で採取したヨーロッパウナギの稚魚が年間50トン前後、
養殖に適した中国に輸出され、成魚が「かば焼き」に加工され、日本に輸出されている。スーパー
などで出回っている安価なかば焼きの大半が、こうしたヨーロッパウナギで、その量は国内消費量
(十数万トン)の5~7割に当たる。
ヨーロッパウナギは欧州でも古くから漁が行われてきたが、現在の漁獲量は年200トン弱。資源量
としては70年代に比べ1%程度まで減少したと推定される。欧州連合(EU)は「ウナギの激減は中国
や日本への輸出が原因」とし、輸出時に原産国の許可が必要な同条約付属書2に入れるよう求める
提案書を提出した。
提案は条約加盟国の3分の2の賛成で採択されるが、日本政府も「反対する合理的な理由がない」
(水産庁)としており、採択の可能性が高い。日本鰻(うなぎ)輸入組合は「輸出がどの程度規制される
かは原産国次第だが、大幅に減る恐れがある」と警戒している。
一方、ニホンウナギの稚魚を日本に年間約5トン輸出している台湾でも、漁獲量減少のため、
対日輸出を制限する方針だ。今月21日に開かれた日台鰻魚貿易会議に出席した同組合員は
「今冬にも輸出規制に踏み切るのは間違いない」と見ており、国内のウナギ業界は対応に苦慮している。
(2007年5月31日14時48分 読売新聞)
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