07/05/30 23:55:15
日本ビクター、1000人規模の人員削減を発表
経営再建中の日本ビクターは30日、寺田雅彦社長(62)が特別顧問に退き、後任に佐藤国彦
専務(62)が6月27日付で昇格する人事を発表した。
過去最大となる1000人規模の人員削減やVHS関連部品事業など不採算部門からの撤退を
柱にした経営改革案も発表し、2008年3月期に営業黒字に転換する目標を掲げた。
ただ、米投資ファンドのTPGと、親会社の松下電器産業との間で、ビクター株の売却交渉が
続いており、ビクターの今後は不確定要素が多い。(水上嘉久、大阪経済部 船木七月)
ビクターの経営改革案は、液晶テレビの赤字脱却やデジタルビデオカメラの販売拡大など、
民生用デジタル機器のテコ入れが柱だ。北米市場などで展開している大型のリアプロジェク
ションテレビは、液晶やプラズマに押されて苦戦が続き、新製品投入で巻き返しを目指す。
ビクターが開発したVHS事業にもメスを入れ、需要低下が著しいVHS関連部品事業からの
撤退を盛り込んだ。
早期退職の募集などによる約1000人の人員削減と、DVDなどの記録メディア事業の分社化に
よる転出を合わせ、6490人の社員を08年3月末までに約1800人減の4700人体制に圧縮する。
事業改革で、08年3月期の営業利益を150億円(07年3月期は57億円の赤字)とする計画だ。
だが、デジタル機器は、ソニーやシャープなど国内勢に加えて、韓国メーカーとの競争も激化
しており、思い通りに収益を回復できるか疑問もある。
親会社の松下は、3月にビクター株の売却に向けた入札を実施した。
ビクター経営陣は、米投資ファンドのサーベラスと組み、経営陣による企業買収(MBO)案を
松下側に示した。しかし、入札の結果、買収価格などで優位に立ったTPGが優先交渉権を得た。
松下出身の寺田社長の後任として、13年ぶりの生え抜き社長となる佐藤氏は記者団に対し、
「ビクターの城はビクターの人間が守る。資本のことは関係ない」と述べ、自主的に再建を進める
考えを強調した。ただ、株式の売却交渉がまとまれば、TPGから追加リストラなどを求められる
可能性もある。
松下とTPGの交渉は、売却する株数など条件面で折り合いがつかず難航しており、決着の
行方は不透明だ。
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