07/05/28 10:28:09
【北京=福島香織】中国の偽(にせ)食品、汚染食品問題。経済のグローバル化に伴い、
中国の「食の危険」が海外に飛び火する懸念が高まっている。国内では、貧富の格差拡大
により下層社会の人々にしわ寄せがゆく構造が顕著になってきた。中国当局は食の問題
の啓発と改善に本腰を入れ始めたが、効果はいっこうに上がっていない。
■「下水溝油」
5月半ば、モンゴルのウランバートルで中国製即席ラーメンを食べた学生2人が中毒死
したと地元紙で報じられた。因果関係は証明されていないが、そのラーメンが、俗に「下水溝油」
と呼ばれる質の悪い油で作られた可能性が指摘された。
中国では、食品工場などの油を含んだ下水を再加工して作った「下水溝油」を利用した
偽即席ラーメンが本物そっくりのパッケージで格安で市場に出回り、ときどき農村で食中毒
事件が報道されてきた。今回の事件は問題が周辺途上国に飛び火する危険性を示したと
受け止められている。
■「有坑乳」
「中国では雑菌処理のために牛乳タンクに抗生物質をぶちこむケースもある」。中国で酪農
指導を行う酪農家は、こう話した。
病気治療のため抗生物質を乳牛に投与したあとに絞った牛乳には抗生物質が残留するが、
そのまま売られることも日常的だという。有機農法による穀物で飼育された乳牛もいるが、
こうした安全な牛乳と抗生物質が残留している「有抗乳」との値段の差は実に6~7倍。中小の
牛乳メーカーでは「有抗乳」が横行しているのが現実だ。
■「民工米」
同じ問題はコメにもある。発がん性のあるカビがはえた古米は市場流通を禁止されているが、
出稼ぎ農民(民工)向けの工場や建設現場の食堂に安く卸され、「民工米」と呼ばれている。
その一方で、今年から日本産米の輸入が解禁され、富裕層をターゲットにしたコシヒカリなど
超高級米が7月初めにも高級スーパーに並ぶことになる。
最近の新華社系時事週刊誌「瞭望」の特集記事によれば、食品工場45万のうち、35万が
従業員10人以下の小規模工場で、22万が食品製造に必要な衛生許可証などを備えていない
零細工場という。
中国政府は最近、食の安全の啓発に力を入れ、都市部の富裕層の間では有機農法ブーム
が起きている。しかし、食品製造の現場を支える労働者や農民の啓蒙(けいもう)や、貧困層の
食の安全はまったく省みられていないのが現状だ。
■ソース
URLリンク(www.iza.ne.jp)