07/05/22 09:19:23
金大大学院医学系研究科神経精神医学の三邉義雄教授らは二十一日までに
精神疾患の一種である統合失調症の発症に、特定のタンパク質の遺伝子変異
が関与していることを突き止めた。ノーベル生理学・医学賞を受賞した米マサチュ
ーセッツ工科大の利根川進教授らとの共同研究で、統合失調症患者の体内では
このタンパク質の遺伝子配列に高い割合で変異が見られることを確認した。
このタンパク質を“標的”にした新薬開発により、新たな治療法の確立が期待される。
統合失調症の発症原因は分かっておらず、脳内の神経伝達物質の一種である
「ドーパミン」の過剰分泌が有力な仮説として唱えられている。利根川教授は
ドーパミンの作用を調整するタンパク質「カルチニューリン」に着目し二〇〇三年、
カルチニューリンのはたらきを止めたマウスが統合失調症に似た症状を示すことを
明らかにした。
人体でのカルチニューリンと統合失調症の関連を探るため、三邉教授は昨年十月末
から浜松医科大附属病院と金大附属病院で、日本人の統合失調症患者と、その両親
百二十四家族の協力を得て遺伝子情報を収集。理化学研究所(埼玉)とともに、
カルチニューリン生産などにかかわる十四の遺伝子群を対象に解析を進めた。
その結果、四つの遺伝子群で、家族内でも患者だけが異なる遺伝子配列を持つ場合
が多いことを見つけた。四遺伝子群が統合失調症の発症に深くかかわるとみられ、
このうち三遺伝子群の存在と関与は世界でも初めての発見となった。
三邉教授によると、これらの遺伝子群に作用する薬が開発できれば、ドーパミンを
抑える従来の治療薬では治らなかった患者にも効果が期待できる。統合失調の発症
に関係する遺伝子は、人種によって異なるともされている中、三邉教授は「今後の研究
で日本人以外の患者でも同じような結果が確認できれば、世界共通の新薬が開発でき
るだろう」と話している。
URLリンク(www.hokkoku.co.jp)